日本らしい「死に直面した心の痛みを和らげるケア」とは?

日本らしい「死に直面した心の痛みを和らげるケア」とは?

心の苦痛を和らげるケア

死生学という学問があります。これは、死を起点にして、いかに生きるかを考える学問です。そして、高齢や病気などで死に直面した人々は、人生の意味や生きがい、自分の存在価値を見失ったり、恐怖を感じたりします。こうした苦痛を和らげるために行われるのが、スピリチュアルケアです。スピリチュアルは精神、魂などを意味しますが、日本では神秘や宗教的なイメージもあるので、「心のケア」と言い換えるとなじみやすいでしょう。 つまり、スピリチュアルケアとは、死に向き合う中で揺らぐ心に寄り添い、その人が生きる意味を見いだせるよう支えるケアなのです。

大切にされている実感

スピリチュアルケアは、傾聴や共感を大切にしています。終末期の患者の緩和ケアなどを行うホスピス現場では、それらに加えて「サポート」による間接的なスピリチュアルケアが重要な役割を果たしていることがわかります。例えば、「冬だけどスイカが食べたい」といった患者の要望にできる限り応えると、患者は「大切にされている」と感じ、存在意義や安心を実感するのです。このように、残された時間をその人らしく生きるためのサポートが重視されていますが、限界と直面した患者にとっては、自分を超えた大きな存在とのつながりを見いだすことも、心の安定や意味の回復につながります。

日本人らしいケアがある

特定の宗教を信仰する多くの海外の人は神に救いを求めますが、無宗教という人が多い日本人は何に救いを求めるのでしょうか。そのキーワードが「心」です。
日本人は心で感じる雰囲気や気持ちを大切にする文化があり、結婚式は教会、初詣は神社、葬儀は寺という風習も違和感がありません。また、日本には「迷惑をかけない」、「恥をかかない」という文化もあります。日本人が当たり前とする文化を踏まえて検証すると、日本におけるスピリチュアルケアの特徴が明らかになります。

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先生情報 / 大学情報

関西学院大学 社会学部 文化学専攻 准教授 ベネディクト ティモシー 先生

関西学院大学 社会学部 文化学専攻 准教授 ベネディクト ティモシー 先生

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死生学、宗教学、医療人類学

メッセージ

死はタブー視されたり、暗いイメージがあったりしますが、向き合うことで「自分はどう生きていくか」を考えることができます。死は、誰にでも起きる大事な出来事です。若いうちに死から人生を考えると、自分がどう生きたいかが認識でき、大きな宝物になります。どう生きたいかを考えることで、学びたい分野が見え、想像力が広がっていきます。また、死は個人の課題であると同時に、社会の課題でもあります。死を考える死生学は、文学、医学、社会学、経済学、宗教学など、あらゆる分野に関わっています。

関西学院大学に関心を持ったあなたは

スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。