化粧品からマイクロプラまで! 高分子化学の光と影

食物連鎖で人間の体にも入る?
海に流れ出るプラスチックごみは、紫外線や波、摩擦によって少しずつ砕かれ、5mm以下の「マイクロプラスチック」になります。これほど微小になると、魚や貝などの生き物に取り込まれます。やがて食物連鎖を通じて人間の体内にも入る可能性があると考えられており、世界的な環境問題として注目されています。調査では、川や海だけでなく、身近な道端や沼にも多くのプラスチックごみがあることがわかっており、どこで調べてもある程度の量が検出されます。「マイクロプラスチック汚染」の問題は、私たちのすぐそばまで広がってきているのです。
地層を読むように土砂を調査
汚染の実態を明らかにするため、河川や海、沼の底の土砂を筒状に採取し、輪切りにして層ごとに分析する調査が進められています。土砂の堆積速度などを手がかりにすれば、いつどのくらいのプラスチックが積み重なったかを時系列で追うことができます。地層を読むように過去を記録していくこの手法で、汚染の歴史が明らかになりつつあります。また、採取したマイクロプラスチックの表面を観察することで、環境の違いでどのように変質していくかも調べられています。今後は、調査地に生息する水生生物がどの程度取り込んでいるかも調査し、廃棄から食物連鎖までの全体像をとらえることが目標とされています。
天然素材で新材料を開発
汚染を減らすため、石油を使わない機能性材料の開発も進んでいます。でんぷんやセルロースといった植物由来の成分、あるいは鉱物を原料として、従来のプラスチックに近い性質を持つ材料をつくろうとする研究です。天然由来の素材を用いることで環境への負荷を抑え、廃棄しやすい仕組みやリサイクル性の向上にもつながる可能性があります。
汚染の実態を「調べる」アプローチと、問題の根源を変える材料を「つくる」アプローチ、この二つの研究が両輪となることで、プラスチック問題の根本的な解決に向けた道が開かれようとしています。
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先生情報 / 大学情報

日本大学 生産工学部 応用分子化学科 准教授 木村 悠二 先生
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