講義No.16426 獣医学

小型犬に多い膝の疾患「パテラ」の謎を解明せよ!

小型犬に多い膝の疾患「パテラ」の謎を解明せよ!

発症のメカニズムは謎

トイプードルやチワワなどの小型犬に多く見られる整形外科疾患の一つが、膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼、通称「パテラ」です。これは膝の皿にあたる膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう疾患です。膝の皿が外れていても元気に歩いている犬は少なくないため、飼い主が異変に気づかないこともあります。しかしパテラは長く放置すると、将来的にじん帯が切れる可能性が高く、犬のQOL(生活の質)に大きく影響する疾患です。
パテラの発症には、犬の骨格の形状や筋肉の状態、体重、運動量などさまざまな要因が関係すると考えられていますが、そのメカニズムは解明されていません。小型犬は犬種が多く、骨格や関節の構造もそれぞれ異なることが、研究を難しくしています。

歩く姿勢や触診で診断

診察では、まず飼い主から普段の様子を聞き、次に犬の姿勢や歩き方を観察します。例えばスキップするように歩いたり、突然後ろ足を上げたりする動きは重要な手掛かりになります。そして触診によって関節や骨の状態を細かく調べていきます。診察では膝だけでなく、股関節や足首なども含めて全身を確認します。パテラだと思われていた犬に別の関節疾患が見つかることもあるためです。パテラには手術しか有効な治療はありませんが、手術に踏み切るかは飼い主の考えや生活環境にも左右されるため、飼い主とのコミュニケーションが重要です。

診断と治療のガイドラインをつくる

パテラ研究の大きな目標は、診断と治療のガイドラインづくりです。現在は発症の原因が完全にはわからないため、治療方針や手術方法が獣医師の経験や判断に委ねられている部分が少なくありません。また、手術後に再び脱臼してしまうケースがあり、その理由も明らかになっていません。そこでさまざまな症例を集めて、診断や治療の判断基準を明確にする研究が進められています。ガイドラインが整備されれば全国の獣医師が適切な治療を選択しやすくなり、小型犬がより快適に暮らせる環境が実現できると期待されます。

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先生情報 / 大学情報

麻布大学 獣医学部 獣医学科 教授 藤田 幸弘 先生

麻布大学 獣医学部 獣医学科 教授 藤田 幸弘 先生

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小動物整形外科

メッセージ

授業をただ聞くだけでなく、「どんな質問ができるだろう」と考えながら聞く習慣をつけてほしいです。そして学んだことを家族や友人に説明してみると、理解もぐっと深まります。大学には、多様な学びとの出会いがあります。オープンキャンパスでも受け身にならず、自分なりの目的や疑問を持って参加してみるとよいでしょう。「なぜだろう」と考えることの積み重ねが、将来の進路選択や研究につながります。興味を持ったことに積極的に飛び込み、自分で考えて自分の言葉で伝える力を育てていきましょう。

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はじまりは1890年に開設した東京獣医講習所でした。
まだ栄養状態が豊かでなかったこの国の、人の生活を豊かにするため、畜産の発展に寄与するため獣医師の養成をはじめました。それから約130年の時を経て、人の社会と動物のかかわりは深くなり、複雑になり、生きものすべてが新しいバランスで循環する「いのちのあしたのあり方」が求められています。
これが私たちの目指す「地球共生系」です。
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