言葉を話さない動物を理解するには? 動物の行動から探る共生の道

イノシシは好奇心旺盛で繊細、アナグマは我が道
野生動物による農作物被害や病気の媒介を防ぐには、その動物をよく知ることが重要です。例えば、見慣れないものへの反応も、種ごとに特徴があります。シカは遠くからじっくり観察し、イノシシは好奇心旺盛に近づいてきてパッと逃げます。タヌキは遠くから警戒し、アナグマとハクビシンは自分のペースを乱さずに短時間しか観察せず、アライグマは触って調べます。このように動物の素顔を理解できれば、問題となる行動を制御するヒントが見つかるのです。
行動から獣害防止を考える
千葉県や伊豆大島で問題になっている動物が、特定外来生物のキョンです。キョンはシバイヌくらいの大きさのシカで、千葉県内に推定9万頭以上が生息しています。好奇心旺盛で適応力が高く、民家の庭で家庭菜園の野菜や花を食べます。また、病気を媒介するマダニを運ぶこともあるため、人里への侵入を防ぐことが課題です。行動を調べると、電気柵を設ける場合は、キョンの鼻先が触れる高さになるよう、地面から10cm、20cm、30cm、40cmの4段にするとよいことがわかりました。また、80cmくらいジャンプできるので、それより高い柵を設置すれば侵入を防げます。
その動物らしい暮らし方を
動物を心身ともに健康な生活が送れるようにする、動物福祉の考え方が広がっています。例えばチーターは、国内での繁殖が難しい動物です。野生のチーターのメスは単独で放浪生活を送り、オスのグループと出会ったときに交尾して子どもを生みます。しかし、日本の動物園でその環境は再現しにくいです。異なる動物園間を移動させて繁殖が試みられていますが、長距離移動は動物にも大きな負担です。そこで、チーターの放飼場が複数ある動物園で、オスを固定の放飼場で過ごさせ、メスに放飼場を転々とさせて野生の環境を再現しようとしています。現在はメスの性行動を観察し、エストラジオールという卵胞ホルモンの量を分析中です。研究が進めば、かわいいチーターの赤ちゃんが見られるかもしれません。
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