「ほんの少し」の調整力が大きな影響に ホルモンの世界を解明

ホルモンが体の中の調節を行う
私たちの体内には、成長ホルモンや男性、女性ホルモンなど、さまざまなホルモンが存在しており、成長や代謝、生殖などを調節しています。その調整はごくわずかな量で行われており、例えるなら50メートルプールにスプーン1杯くらいの量です。
生体に影響を及ぼす「環境ホルモン」
環境中のさまざまな化学物質が体内に入り込み、生体内のホルモンに対して影響を与えるものを「環境ホルモン」と呼びます。これに曝露(ばくろ)することで、免疫系や生まれてくる子どもなどに影響を及ぼすことがあります。現代日本では、規制が厳しくなったことで環境ホルモンによる影響が減りましたが、今でも途上国では人体にさまざまな影響があるのではないかと懸念されています。
エストロゲンの新たな働きに着目
環境ホルモンの中には女性ホルモンであるエストロゲンに類似した作用を持つものがあり、その関連性からエストロゲンについても研究が進められてきました。研究者たちが主に着目したのは、エストロゲンの細胞増殖機能です。エストロゲンには細胞を増やす働きがあり、それが乳がんや子宮がんといった女性疾患の進行に関与していると考えられてきました。そうした考えから、がんの進行を食い止めるためにエストロゲンの働きを抑える薬が使われていました。
しかし、エストロゲンにはほかのホルモンと関わりを持ちながら、細胞の機能を調節する働きもあることがわかってきました。その働き次第では、逆に細胞増殖を抑えることもあるのです。
現在、細胞にエストロゲンを投与し、増殖時に働く遺伝子、抑制時に働く遺伝子を調べる実験が進められています。まだまだ研究は途上ですが、細胞調節機能の研究が進めば、将来は女性の疾患に対する遺伝子治療の方法が見つかる日がくるかもしれません。また、エストロゲンの研究が進むことで、類似した作用を持つ環境ホルモンの生体への影響についても理解が進んでいくでしょう。
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