「伝える力」が報道を変える スポーツメディア研究最前線

強まるSNSの影響力
スポーツメディア論やスポーツジャーナリズム論では、「情報がどう伝わるのか」にフォーカスされる場面が多々あります。特に重視すべきが、「伝える」と「伝わる」は違う、という視点です。情報発信は、受け手が理解して初めて「伝わった」ことになります。
SNSやショート動画が広がり、短く素早い情報発信が主流となった今、じっくり物事を伝える機会は減っています。短い言葉で端的に本質を伝えるSNSの影響力も強まっているため、言葉が相手にどう受け取られるか、より客観的な視点で見極める能力の必要性が高まっています。
どう伝えるかが問われる
スポーツを伝える上では、「何を伝えるか」だけでなく、「どう伝えるか」も重要です。同じ出来事でも、それを見る立場や視点によって受け取り方は大きく変わるからです。例えば、日本人選手がMLBに挑戦し、夢の舞台で活躍する姿は多くの人に希望を与えますが、日本球界からスター選手が流出しているという見方もあります。Jリーグでは海外移籍が増える一方、地域密着によって観客動員を伸ばしています。
こうした出来事の伝え方に正しい答えはありません。重要なのは異なる立場や背景を知った上で、どう伝えるかを考えることです。スポーツは勝敗だけではありません。社会や経済、人々の価値観が交差するからこそ、伝え方そのものが問われるのです。
AI時代に必要な「自分の言葉」
このように、情報のアウトプット能力は重要性を増しています。100学んでも50しか伝えられない人より、80を学び80を伝えられる人の方が高く評価されます。自分の言葉で物事を整理し、要約し、相手に届く形で表現する力が必要です。
AIの進化によって、情報収集や資料作成は簡単になりました。しかし、AIを使いこなすには人間の知識や判断力が欠かせません。SNSやAIによるスポーツ報道の変化を探ると、「情報に振り回される人」ではなく、「伝える力を持つ人」になるためのヒントが得られるでしょう。
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尚美学園大学 スポーツマネジメント学部 スポーツマネジメント学科 准教授 田中 充 先生
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