握力で栄養状態がわかる? がん患者を支える研究とは

握力測定が医療につながる?
体力テストでおなじみの握力測定が、病院でがん患者の栄養状態を知るために使われることがあります。がん患者では、病気や治療の影響で筋力や栄養状態が変化することがあり、こうした変化は治療の効果やその後の経過にも関わります。では、なぜその握力が「栄養」に活かせるのでしょうか。
低栄養を早く見つけるには
握力は、全身の筋力低下や身体機能の低下を表すサルコペニアの評価にも使われる重要な指標です。筋力低下は、栄養状態の変化とも密接に関わるため、患者の状態を知る大きな手がかりになります。特にがん患者は栄養状態が悪くなりやすいため、栄養管理が必要な患者を早期に見つける仕組みが求められます。
しかし、栄養状態を詳しく評価するには、食事量や体重の変化など複数の情報が必要であり、入院患者全員に同じ密度で対応することは困難です。そのため、栄養管理を行うべき患者の優先度を判断する視点が必要です。そこで、対象となる患者を見つけてふるい分ける指標として、「握力」が有用かを調査・検討されました。
測定結果を栄養管理に活かす
病院では、以前から「食事量の減少」や「体重減少」などといった入院時の評価項目に該当した患者に対して、握力測定と栄養評価が行われています。研究では、その記録の中からがん患者に注目し、約3年間にわたるデータを分析しました。その結果、握力値と栄養評価の結果には関連がみられ、握力が低い患者は栄養状態にも課題がある可能性が示されました。握力測定は機械を握るだけで行えるため、患者の状態を知る入口として簡単に取り入れやすい方法です。また、医師や看護師など他職種とも共有しやすく、医療チームでケアを検討する指標として有効です。
まだ入院中の一時期を見た研究であり、握力が低値であった患者の状態が退院時にどう変わるのか、栄養管理によって改善するのかを追うことも今後の課題です。そうした変化を継続的に見ていくことで、身近な測定値を必要な栄養管理にどう活かせるかを、より詳しく検討できるはずです。
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先生情報 / 大学情報

城西大学 薬学部 医療栄養学科 助教 今井 十夢 先生
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