アスリートを支えるスポーツ栄養学

アスリートを支えるスポーツ栄養学

勝つための食事とは

スポーツの世界では、どの栄養素をいつ、どのように取るかによって筋力や集中力、試合中のパフォーマンスまで変わる可能性があります。つまり食事が、競技力を左右する重要な戦略にもなり得るのです。また、体格や競技の特性によって必要な栄養素は異なるため、選手一人一人の状態を分析しながら食事を考える必要もあります。こうした視点から、スポーツと食事の関係を科学的に解き明かすのがスポーツ栄養学です。

大学野球部を調査

一例として、ある大学の野球部を対象に、食事とパフォーマンスの関係を調べる研究が進められています。野球は2時間近く続く競技で、試合も中盤になると集中力が落ちやすくなります。そこで日々の体づくりに加え、試合前やプレー中の「補食」やそのタイミングが重要です。研究ではまず、選手へのアンケートや聞き取り調査で食事内容や生活習慣を調べます。チーム全体と個人の状態を把握し、課題を分析して目標を設定、栄養摂取計画を実行して改善を図っていくのです。
この研究では、実際の栄養摂取量を確認するのに、選手自身がスマートフォンで食事を撮影し、栄養士が分析する「写真法」が導入されています。一人暮らしやアルバイトで生活環境が変わり、朝食を抜くなど食生活が乱れる選手には、個別の生活指導が行われることもあります。「試合に勝つ」という目的が明確なスポーツ栄養学では、食事の重要性を理解するだけで選手の行動が目に見えて変わり、パフォーマンスが向上することがあります。

データの蓄積が進む発展途上分野

スポーツ栄養学は比較的歴史の浅い研究分野です。日本では2000年代から研究が本格化しましたが、国が公表する栄養摂取基準にはアスリート向けのものがまだなく、海外のデータが参考にされています。見方を変えれば、データの蓄積が進む発展途上の分野とも言えます。トップアスリートから地域の子どものクラブチームまで研究対象も幅広く、今後の発展が期待される研究分野なのです。

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大手前大学 健康栄養学部 管理栄養学科 准教授 塩谷 亜希子 先生

大手前大学 健康栄養学部 管理栄養学科 准教授 塩谷 亜希子 先生

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栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日常の中で「なぜだろう」と思う気持ちを大切にしてほしいです。例えば「なぜこれを食べるとよいのだろう」「どうしてこの方法が勧められるのだろう」といった、ふとした疑問です。疑問をそのままにせず、「なぜ?」と考え続けてみてください。自分で調べたり人に聞いたりするうちに、知識だけでなく疑問もどんどん広がっていくでしょう。大学は、そうした「なぜ」を深く探究できる場所です。あなたの小さな「なぜ」を、一緒に解き明かしていきましょう。

大手前大学に関心を持ったあなたは

ゆさぶる、ささる、胸を打つ。「胸を打つ教育」の方法として、1)学部の壁を越えて授業を選択できる「学びのクロスオーバー」、2)キャンパス(教室)をとび出してフィールド(街)を探る活動を行う「クロスバウンダリー」、3)教職員が学生一人ひとりと対話し内省(リフレクション)を促す「1on1リフレクション」、4)ダイナミックな環境での多様な学びと交流「ダイバーシティ&インクルージョン」の4つを展開します。本学の「胸を打つ教育」で、自身の内なる資質を開花させ、学び続ける力を修得します。