プロのアニメクリエイターはどのように物語を紡いでいるのか

人の気持ちを動かす構成とは
アニメーション制作で大事なのは、キャラクターの動きで見る人を物語に引き込むように展開していくことです。映画監督のスピルバーグやヒッチコックは、セリフによる説明だけではなく映像でも「物語れる」ことを説いていますが、アニメーションにも通じるところがあります。例えば画の構図だけでも登場人物の心理状態を描写することができます。「出来事」の説明だけでは感動は生まれません。また、見る人の気持ちを動かすには、構成も重要です。例えば、主人公が迷いを乗り越える、ライバルの言うことに思い悩むなど、そういった人の心の葛藤が描かれると、見る人を引き付ける物語になります。
うそを描くことで本物らしく
動きの演出としては、「詰め」と「ため」も大事です。いわゆる緩急のことで、早い動きとゆっくりな動きの差を誇張することで豊かな動きになります。また「予備動作」などの動きの特性も大事です。これから力強く動く方向と逆側に力をためることを「予備動作」と言います。現実には、肉食動物は獲物に悟られないため、この「予備動作」をせずにいきなり飛び掛かりますし、ボクサーのパンチも何の前触れもなく繰り出されます。ただ、アニメーションとして描く上では、視聴者に何が起こったのかを可視化する目的でこのような工夫をしています。うそを描くことでより本物らしく見えるのです。
テクノロジーはアニメを変えるのか
現在のAI技術のような、新しいテクノロジーが生まれることで、「人間らしさが役に立つことはどこか」という点が重要です。例えば、現実的な立体感が生み出せる3DCGが生まれた時代には、手描きの作画に求められるものはよりエモーショナルな、動きや空間の表現に移行していきました。そしてそれらが共存し、新しい映像表現の可能性を生み出していきました。
大事なのは、新しい表現への好奇心を断たず、どんな道具を駆使してでも思い描いたイメージに近づく気力を持つことなのです。
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先生情報 / 大学情報

尚美学園大学 芸術情報学部 情報表現学科 准教授 坂本 サク 先生
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