分子の並びを制御して、有機薄膜の新たな機能を引き出す!

二次元に近いための特性
有機薄膜とは、有機化合物で作る非常に薄い膜です。その厚さはナノスケールの分子サイズで、食品用ラップの1万分の1程度です。スマートフォンなどの有機ELや有機半導体、コーティング剤や化粧品などあらゆるものに使われています。
有機薄膜は、非常に薄く二次元(平面)に近い状態にあるため、材料が少なくて済むことや柔軟性が高いほか、薄膜にすることで元の材料とは性質が変わるという特徴があります。その性質に影響を与えるのが分子の並び方(分子配列)で、並びの違いで導電性や撥水性などの機能が大きく変化します。分子配列を制御できれば、既存の材料に新しい機能を付与して、材料開発のコストと環境負荷を削減することが可能になります。
分子の向きを変えると?
分子の並びによって性質が変わる例の一つがペンタセンです。ペンタセンは有機半導体の代表的な材料の一つで、電気を流す性質を持っています。ペンタセンの薄膜の分子は、基板に対して垂直に並びます。
これに対し、ペンタセンの分子を基板に対して平行に並べる方法が確立されました。基板を冷やすことで分子の動きが制限され、結晶を形成できずに個々の分子が基板上に倒れた形で並ぶというものです。分子が平行に並んだペンタセンの薄膜は分子が垂直に並んだものとは電気の通り方が異なるので、太陽電池など別の用途への可能性が考えられます。
分子の並びを正確に解析
薄膜の分子配列は目に見えないナノの世界の現象であるため、分子の並びを正確に解析する計測方法の開発も欠かせません。材料を薄膜にすると元のときとは異なる、薄膜固有の結晶構造(薄膜相)をとることがあります。その中でDNTTという有機半導体材料は、これまで固有の薄膜相はないと考えられていました。しかし、新たなX線回折法により、通常の結晶に似つつも明確に異なる構造の薄膜相があることがわかりました。機能を制御するためには、まず並び方を知ることが大切なのです。
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