安全・環境・エネルギーに貢献し、新しい価値を創出する知能デバイス

強誘電体と半導体を接合させた新しいAI素子
PZTは「チタン酸ジルコン酸鉛」の略称で、力を加えると電圧が発生し、逆に電圧を加えると変形します。この特性により、振動エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換でき、圧力や振動センサやアクチュエータとして産業応用されている「強誘電体」です。
この強誘電体と半導体を接触させた「強誘電体ゲートトランジスタ(Ferroelectric Field-Effect Transistor: FeFET)」は、ゲート絶縁膜として強誘電体を用いることで、不揮発性メモリ機能をトランジスタに付与したデバイスです。同じ不揮発性素子であるUSBメモリなどと比較して、高速書き込み・低消費電力・高集積化が期待されることから、組込みメモリやAI向け素子への応用が注目されています。
脳細胞(ニューロン)を模した「脳型デバイス」
FeFETは単なるデジタルメモリにとどまらず、生体シナプスの重み変化を模擬する(脳と同じ様な情報処理が可能な)ニューロモルフィックコンピューティングを実現する有力なデバイスとして期待されています。特に、学習と記憶を素子内部で実現し、演算とデータ転送を分離する従来の情報処理技術を凌駕し、AI利用によって爆発的に増加を続けるデータ処理における電力消費の問題を解決することが可能な、超低消費電力AIハードウェアとしての応用が期待されています。
センサ信号のリザーバーコンピューティング
FeFETはリザーバーコンピューティングでも利用でき、複雑なニューラルネットワークを構成することなく、高効率な時系列情報処理が可能です。そのため、電磁波センシング、音声認識、センサデータ解析、ロボット制御、IoTエッジAIなど多様な分野への応用が期待されています。情報処理のAI化のみならず、センサのAI化も推進することができ、センサ自身がAI素子として「大量の情報から重要な信号を識別する」ことができるため、通信速度の増加や消費電力の大幅な低減に大きな貢献が期待できます。
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桃山学院大学 工学部 工学科 教授 藤村 紀文 先生
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