AIが人の感情を判断するには? マルチモーダル学習の可能性

AIが人の感情を判断するには? マルチモーダル学習の可能性

複数の感覚情報を組み合わせる

主に画像認識の分野で発展してきた深層学習が、音声認識や自然言語理解にも使われるようになりました。さらに、人間が視覚や聴覚など複数の感覚を使って物事を判断しているのと同じように、さまざまな種類(モーダル)の情報を組み合わせる「マルチモーダル深層学習」の研究も行われています。ただ、画像と音声ではデータの種類も情報量も大きく異なり、それらをAIが統合して活用するのは容易ではありません。

表情だけではわからない

この技術の活用例が、人の表情や声の抑揚を組み合わせて感情を推定するAIです。表情だけでは人の感情は必ずしも読み取れません。笑顔で怒る人もいれば、声の調子や会話の流れによって受ける印象が変わることもあります。さらに、感情の表し方は文化によって異なり、感情の種類そのものが地域によって違うという指摘もあります。そこで、その人の状況や音声、話している内容などを組み合わせることで、より正確に感情を判断できると期待されています。
AIに人の感情とその表現を教えるためには、感情のラベルを付けた映像や音声のデータが必要です。作成する際には、人が他者の感情をどのように読み取っているのかという心理学の知見も必要とされます。

音声通話で感情を推定

人は猫の写真を見て、鳴き声を思い浮かべたり、鳴き声を聞いて姿を想像したりと、異なる種類の情報を頭の中で結び付けられます。同じような機能をAIで実現するため、画像と音声に共通する「意味概念」を学習させる研究も進められています。
実現すれば、音声通話のように相手の顔が見えない状況でも、声のトーンから表情や感情の推定が可能になります。また、通常のカメラ画像だけでなく、赤外線センサや距離を測る深度センサなど、性質の異なる映像データを組み合わせてAIに判断させる研究も進められています。研究が進めば、データが一部欠けていても別の情報から補うシステムも可能になるかもしれません。

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広島市立大学 情報科学部 知能工学科 准教授 鎌田 真 先生

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知能情報学

メッセージ

AIは本来ただの機械ですが、それが何度も間違いを繰り返しながら、少しずつ正解に近づいていく過程には大きな面白さがあります。AIの仕組みに興味を持てたなら、ぜひこの分野に飛び込んできてください。学習を進める上で数学の知識は欠かせず、高校で取り組んでいる勉強はそのまま大学での学びに直結しますので、ぜひ頑張ってください。また、文理の枠にとらわれ過ぎず、自分自身の興味を大切にしてほしいです。興味を持ち続けることこそが、学びを深めていく上で一番の力になるはずです。

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広島市立大学は、広島市の都市像である「国際平和文化都市」にふさわしい大学づくりをめざして、1994年に「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の理念として開学しました。
世界と地域が求める新しい時代の要請に応えるため、「国際、情報、芸術、平和」をキーワードに、特色ある教育研究活動を通じ、学術の振興と感性豊かな創造力、実践力を備えた人材を養成し、教育研究の成果を地域に還元するとともに広く世界に発信しています。