細胞でものづくりする時代! 「デザイナー細胞」が医薬品に

細胞そのものを薬にする
私たちが普段服用している風邪薬や頭痛薬は、小さな分子の化合物でできた「低分子医薬品」です。それに対し、近年タンパク質や核酸などを利用した「バイオ医薬品」が登場し、さらに細胞そのものを薬にする「細胞医薬品」の時代が訪れようとしています。
すでに実用化されている細胞医薬品の例が、免疫細胞にがんを攻撃する機能を持たせた「CAR-T細胞」です。CAR-T細胞のように治療などの目的で人工的に改変した細胞を「デザイナー細胞」といいます。
受容体を自在にデザイン
さまざまな機能を持つデザイナー細胞を創製するカギの一つが、細胞表面にある受容体です。これに特定の物質(リガンド)が結合すると、細胞内にシグナルが伝達され、分化や増殖といった細胞の応答が起こります。いわば受容体は細胞の運命を決めるスイッチで、受容体を思い通りにデザインすることにより、細胞の運命を制御できるのです。具体的には、タンパク質のパーツをブロックのように組み合わせて、任意のリガンドに結合できる受容体をデザインします。同様に細胞内のシグナル伝達を担うパーツも、目的の遺伝子が発現するように設計していきます。
これまでの研究で、細胞の増殖・分化効率を大幅に向上させたり、細胞を遊走させたりする受容体のデザインに成功しています。こうした成果は、例えば再生医療のための細胞の増殖や、細胞医薬品を体内の目的の場所に運んで、その場で抗体医薬を生産させるような治療法につながると期待されます。
AIで人工受容体を作る
受容体のデザインには、AIの利用も検討されています。一つはAIに分子間の結合の強さなどを予測させることによる、実験の効率化です。また、現段階では天然にあるタンパク質に倣って人工受容体がデザインされていますが、AIの機能を活用すれば、天然にない骨格を持った人工タンパク質を人工受容体に組み込むことも可能です。例えば熱に強いなど、まったく新しい特性を持った受容体がデザインできるかもしれません。
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