暮らしを良くするカギは、地方政治の活性化にあり

近いはずなのに遠い地方政治
近年投票率の低下が指摘されますが、地方選挙の投票率は国政以上に低下している地域も多いです。しかし、かつては国政選挙よりも地方選挙の投票率が高く、地方議会議員選挙の投票率が80〜90%を超えた地域も昭和の時代は多いです。地方選挙の投票率が低下した原因はさまざまですが、地域コミュニティが希薄化し、市民と議員との距離が遠くなったことも理由の一つでしょう。新聞購読率などが低下する中で地域メディアの影響力が低下した点も背景にあるかもしれません。また、学校の主権者教育が、地域や教師によって指導に濃淡があり、市民が地方政治を身近に感じやすい環境が十分ではない点もあげるべきでしょう。
地方議会の課題とは
日本の地方政治の一番の特徴は、二元代表制だということです。首長と議員が別々に選ばれ、互いに緊張関係をもって自治体の基本方針を決めます。そして市区町村の議員選挙は、多くの場合、大勢の議員を自治体全体から選出する大選挙区制をとります。こうした仕組みは多様な意見が反映されやすい一方、大勢の中から一人を選ぶ難しさもあります。また、同じ自治体内でも、都市部と中山間地域では課題が違います。地方議員は、女性や若者、サラリーマンが少なく、高齢男性の議員が多い傾向もあり、さらには少子高齢化の中で、世代間の意見も顕在化してきています。こうしたことからも、今の地方議会や選挙のあり方を改めて考えることが必要でしょう。
よりよい暮らしのために
とはいえ、男性議員の中には子育てに積極的な人や、女性活躍に理解のある人も増えています。今後、女性や若者の議員、さまざまなバックグラウンドをもつ議員が増えれば、一つの議題に対して多様な視点で議論が交わされやすくなり、地方議会のあり方が変化するかもしれません。議会が変われば、市民の地方政治への関心も高まるかもしれません。地方政治は私たちの生活に関わる身近な仕組みを決めます。そのために、まずは、どう私たちが社会や政治に関心をもつか、が重要なのです。
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静岡大学 人文社会科学部 法学科 教授 井柳 美紀 先生
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