筋トレのニュースタンダード? 「楽なのに効く」を科学する

筋トレのニュースタンダード? 「楽なのに効く」を科学する

筋トレの常識とは

筋トレといえば、重いものを持ち上げる動作を思い浮かべるでしょう。この持ち上げる動作を「コンセントリック運動」、下ろす動作を「エキセントリック運動」と呼びます。研究では、エキセントリック運動はコンセントリック運動よりも約1.3倍強い力を発揮でき、しかも疲労しにくいことがわかっています。筋トレとは異なりますが、身近な例が階段です。上がるより下りる方が楽に感じますが、この下りる動作がエキセントリック運動です。「楽に感じる=負荷が小さい」とは限りません。普段は意識しない「下ろす動作」に、筋トレを効率化するヒントが隠れています。

「筋肉痛=効果」は本当?

エキセントリック運動には、強い力を発揮でき、疲労しにくい一方、筋肉痛や筋損傷が起こりやすい弱点もあります。かつては筋損傷が筋肥大につながると考えられていましたが、現在はその定説が覆り、損傷が大きいほど筋肉が成長するわけではないと考えられています。そのため、筋損傷を抑えながらメリットを生かす方法が研究されています。さらに、下ろすだけの筋トレは一人では実施しにくく、補助が必要です。こうした課題を解決しながら、一般的な筋トレと同程度あるいは一般的な筋トレよりも高い筋肥大や筋力向上を、より安全で手軽に、短時間で獲得する方法が探られています。

筋トレを、もっと身近に

現在は、補助者がダンベルを持ち上げ、被験者が下ろすという方法でデータ収集をしていますが、一人でも安全に取り組める環境の実現をめざし、工学系の研究者と共同でダンベルなどの器具を自動で持ち上げるマシンの開発も進んでいます。
エキセントリック運動の「疲れにくい」という特性は、アスリートのパフォーマンス向上のための筋トレとしても、高齢者や体力の低下した人、体を動かすことに制限がある人の筋トレとしても有益です。同じ効果ならより楽に、同じ努力ならより高い効果を、より短時間で得られる新しい運動方法の確立をめざした研究が進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

酪農学園大学 食と健康学類 健康スポーツ科学 准教授 柴田 啓介 先生

酪農学園大学 食と健康学類 健康スポーツ科学 准教授 柴田 啓介 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

スポーツ科学、トレーニング科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

勉強も部活も、今できることに全力を尽くしてください。勉強は、将来の可能性を広げてくれます。私自身、高校時代は偏差値を基準に進路を考え、法学部に進みましたが、大学でスポーツ科学と出会い、研究の道に進みました。高校生のうちに、世の中には国語や数学だけでなく、スポーツ科学をはじめさまざまな学問があることを知ってほしいです。そして部活動では、仲間と協力し、勝負に挑み、全力を尽くしてください。勝てない経験も含め、そこで得る経験が人としての成長につながります。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

酪農学園大学に関心を持ったあなたは

北海道の政治・経済の中心都市札幌から快速電車で10分、本学はそこに132haの広大なキャンパスを構えています。世界の人口が増幅を続ける中、40%前後の我が国の食料自給率は、今後ますます問題となるのは確実です。そうした環境下にあって、大地を健やかに育て、健康な食物を育み、それを食して健やかな人が育つ。こうした「循環と共生」をテーマに掲げながら、学生一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出せるような教育を実践することを使命と考えています。