
宇宙は数学の言葉で書かれている
東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU,WPI) は、数学・物理学・天文学の融合により、宇宙の起源や法則の解明に挑んでいる研究拠点です。研究棟内のホールには、ガリレオ・ガリレイの言葉「宇宙は数学の言葉で書かれている (L’universo é scritto in lingua matematica)」と刻まれた柱があり、数学や理論物理の数式を用いて研究している私たちにとって、象徴的な言葉です。毎日午後3時にはティータイムがあり、黒板を囲んで活発な研究議論が行われています。
当機構は2007年にWPI拠点として発足し、2012年には米国カブリ財団の寄附を受け、日本唯一の「カブリ研究所」となりました。研究活動の発展のみならず、現在では構成員の半数以上が外国人研究者という世界に伍する国際的な研究所に成長しました。さらに2025年には、海外の卓越人材を招聘するEXPERT-Jプログラムに採択され、Kavli IPMUはこれまでの実績を活かし、東京大学全体が国際的な大学へ進化するための取組みを主導しています。
宇宙を見つめる2,400の最新鋭の“眼”

Kavli IPMU が主導する研究プロジェクトの一つが超広視野多天体分光器 PFS(ハワイ語名:ʻŌnohiʻula 「オーノヒウラ」)です。ハワイ島マウナケア山頂域のすばる望遠鏡に設置された装置で、2025年3月から本格観測を開始しています。この装置は7つの国や地域の研究者による国際協力で実現しました。
満月7個分相当の広大な視野内に、約2,400本の光ファイバーを配置し、髪の毛の太さの1/3ほどの約20μmという高精度で観測したい星や銀河へ向けられます。そして、最大約2,400個分の天体からの光を同時に分光装置に取り込み、可視光から近赤外線までの広い波長域のスペクトルを一度に取得できます。PFSは、遠くの宇宙にある多数の天体を幅広い波長で同時に分光観測できる世界で唯一の最新鋭装置です。
PFSは現在、広大な宇宙における数百万個の銀河の分光観測に挑んでいます。質・量ともに圧倒的な分光観測によるデータをもとに、138億年の宇宙史におけるダークエネルギー、ダークマターの役割や、銀河の形成史を観測的に調べることが可能になります。
拠点長から高校生に向けたメッセージ

私の通っていた高校はいわゆる進学校ではなかったため、大学受験に向けては自ら勉強法を工夫し、対策を編みだしました。受験問題は必ずしも大学入学後の勉学に直結するものではないにしても、その過程で培った思考力と粘り強さは現在の研究にも大いに役立っています。Kavli IPMUは世界各地から多様な研究者が集う自由闊達な環境で、多くの成果を生んでいます。皆さんもぜひ、素朴な好奇心を大切に育み、未来を切り拓く人材へと成長していってください。






