その家具は誰が作った? 地場の産地を通して知るモノの価値

産地を知る
現在、国内の家具市場は大型量販店が高いシェアを誇り、そこで売られる家具の多くが外国産ですが、日本にも家具産地があります。その一つである旭川地域では、北海道産の木を使ったり、北欧風のデザインを取り入れたりして、産地としての特徴を打ち出すことに成功し、若者の参入も増加しています。
実際に作ってみる
同じく、静岡県中部にも大きな家具産地があります。近くには東京や名古屋という大消費地があり、製造から販売まで多くの業者が集まっていますが、産地の特徴という意味では、見えにくい地域です。家具産業全体が縮小傾向にある中で、産地としての特徴が見えにくければ、将来的に産地の弱体化につながる可能性もあります。
静岡産地が特色を打ち出すために解決すべき課題は、理論や知識を学ぶだけでは見えてきません。例えば木の産地に足を運び、林業の人たちと一緒に木を切ってみたり、家具を作ってみたり、販売してみたりと、材料の産地に身を置いて、生産から流通までのプロセスを実際に経験することで、初めて気づけることもあります。これまでの調査で、静岡産の木がほとんど使われていないことがわかっています。また材料の調達や加工、流通、販売、そして行政と、それぞれの役割が専門分化しすぎているために、家具産地の中のつながりが薄いこともわかってきました。
地域産業に目を向ける
経済の動きには、実に多くの要素、組織、人が絡むため、マクロ的な広い視点をもつことが不可欠です。しかし、そうした広い視野をもつためには、地場の産地を含めて、生活に最も身近な地域の経済に目を向けることが重要です。家具産地であれば、誰がどんな思いで作ったのか、どんな材料が使われているのかなど、その産地ならではのストーリーが見えてきます。そうしたストーリーが価格やスペックでは表せない価値を生み出して、消費者の選択を変え、それによって地域の産業がより持続可能なものになるのです。
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