上手でなくとも、ダンスやヨガは快適を与えてくれる

心理学からダンスやヨガを見つめる
ダンスやヨガなどの身体表現は、芸術学や体育学などから多く語られてきました。しかし、現在は視点を変え、心理学の面からその効果を考える研究も進んでいます。一般に若い世代に人気のあるこれらの身体表現は、実は幼児から高齢者まで、障害などの有無も問わず楽しめるものです。体を動かせばリラクゼーション効果があることは知られていますが、それ以外にも脳の働きなどに影響を与えることも判明しつつあります。
体を動かすメリット
体を動かすと気分がアガる、スッキリするなど心理的なメリットについては、信頼性のある心理検査や計測によってすでに判明しています。その上で、同じ動きを繰り返すより、いろいろなパターンで体を動かす方が、脳に刺激を与えることがわかってきました。
この脳への刺激は、特に高齢者において有用と言えるでしょう。世界的にも高齢化への対応が課題となっており、健康問題で日常生活が制限されることなく過ごせる期間である「健康寿命」を延ばすことが目標とされています。そこに効果を発揮するのではないかと期待されているのです。上手に踊ることにとらわれず、自分の感覚を大切に体を動かすことは、さまざまな可能性を引き寄せると考えられています。
「多様な身体動作は健康によい」の科学的証明を
過去にはウォーキングとヨガを比較し、眠くなる、ぼんやりするなどの状況がどう変化するか調査した研究もあります。ウォーキングはリズミカルであるもののパターン化された繰り返し運動、ヨガは多様な動きを含む運動です。不安や緊張がやわらぐといった点では大差ありませんでしたが、意識が活性化するという点においては、ヨガの方が効果的との結果が出ました。この先行研究を参考に、今後はそれ以外の効果がヨガやダンスをすることで得られるのではないかと探究されています。ダンスやヨガでは上手下手に関係なく、広く心と体の健康に役立つものと考えられ、研究が進められています。
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