書き換え自在の集積回路で、ホームサービスロボットの実現へ!

家庭で働く賢いロボット
家庭内で人の暮らしを手助けする「ホームサービスロボット」は、今後の社会で重要な役割を果たすものです。例えば、ロボットに「キッチンの水をリビングに持ってきて」と頼むと、音声を聞き取り、意味を理解し、部屋の中を移動して水を探し出して運んでくれます。
工場のロボットとは異なり、家庭用ロボットの置かれる環境は、家庭ごとにさまざまな上に毎日状態が変わり、人間の命令も曖昧で多様です。そのためAIの活用が欠かせません。AIは大量の電力を消費しますが、家庭用ロボットは自由に動き回るためにバッテリー駆動である必要があり、消費電力の大幅な削減が必要です。
書き換え可能な集積回路
AIの処理を省電力化する有力な方法は、ハードウエア化することです。AIの処理に特化した集積回路も多数開発されています。しかし、あらかじめ処理内容が決められた状態で製造された集積回路を用いると、AI技術が進化した際に作り直しが必要になることがあります。そこで、「Field Programmable Gate Array (FPGA)」と呼ばれる集積回路の活用が検討されています。FPGAは外部から回路の構成の書き換えができるため、新しいAIモデルに柔軟に対応が可能です。FPGAを活用すると、従来のパソコンと比較して、処理によっては、消費電力を10分の1に減らして、処理速度を何十倍も向上させることが可能になります。
状況に応じて“変身”する
FPGAを活用することで、ソフトウエアがアップデートされるのと同じように、将来的にはハードウエア自体をアップデートできることが期待されています。さらに、タスクごとに即座に書き換えられれば、「今はものを探す処理をする」「次は人と会話する処理をする」といったように、瞬時に役割を切り替えることができます。これにより、1つの集積回路で多様な作業に対応できます。小さくて働きものの家庭用ロボットの実現が近づいてくるのです。
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