外国語を学ぶと見えてくる、他者理解と自分発見のヒント

外国語を学ぶと見えてくる、他者理解と自分発見のヒント

韓国語のあいさつに込められた意味

韓国では、人に会ったときのあいさつとして「ご飯を食べましたか?」と尋ねることがあります。この言葉には、相手の体調や暮らしぶりを思いやる気持ちが込められています。そしてその背景には、戦後の貧しい時代に人々が十分に食事をとることが難しかったという歴史的経緯があります。
このように、「ことば」にはその国ならではの表現があり、外国語を学ぶことは、他者や他国の文化・社会・歴史への理解を深めることにつながります。

「ことば」を通して自分を見つめ直す

他国の言葉を学び、そこに込められた感情や価値観を知ることは、新たな視点を得て、自分の世界を広げることにもつながります。韓国語の独特なあいさつを学んだなら、実際に韓国の人に使ってみることで距離が縮まるかもしれません。一方で日本人としてのコミュニケーションを大切にしたい場面では、あえて日本語で「こんにちは」とあいさつするのも一つの選択です。どの言葉を選び、どう使うかの判断に、話者本人の価値観や思いが表れるのです。
言葉は、自分を表現するための「資源」です。その資源を増やして使い方を考えることは、自分自身を見つめ直す作業でもあります。外国語との出会いは、自分の中の「当たり前」を問い直し、新たなアイデンティティを築くきっかけにもなるのです。

語学力よりも大切なこと

グローバル化が進む現代では、国籍と話す言葉が一致しないことも多く、「日本人=日本語が話せる」といった固定観念は通用しなくなってきています。そうした状況では、言語は「正しく話すこと」以上に、人間関係の中で「どのように意味づけ、どのように表現するか」が問われます。
AIが進化しても、文脈に込められた「気持ち」や「空気」を完全に読み取ることはできません。外国語の学びを通して他者を理解し、相手の視点に立って声をかける想像力と対話力、さらに、自分らしく世界と関わる自己表現力を育むことは、これからの社会を生きる力となるでしょう。

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大阪経済法科大学 国際学部  准教授 尹 惠彦 先生

大阪経済法科大学 国際学部 准教授 尹 惠彦 先生

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外国語教育学、社会言語学、応用言語学

メッセージ

第二言語を学ぶことは、異なる価値観や文化に出会い、世界を見るまなざしを広げ、深める営みです。中でも、日本と地理的・歴史的に深いつながりを持つ韓国語を学ぶことは、アジアにおける多文化共生や国際理解を考える上でも大きな意味があります。大学では自分の「ことば」で問いを立て、行動し、自分らしく世界と関わる力を育んでください。その力は、社会で直面するさまざまな問題に向き合い、解決する助けになるはずです。「ことば」はあなたの資源となり、新たな世界への扉を開く鍵となるでしょう。

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