伸び悩む女性コーチの増加 解決の糸口は「偏見」の排除

求められる女性コーチの増加
女性コーチの人数が少ない事実は全世界共通です。この解決のために、日本ではスポーツ庁が2017年に策定した第2期スポーツ基本計画以降、「女性コーチの育成」が明文化されましたが、以降もその数は伸び悩んでいます。女性コーチ増加における障壁の正体は何なのでしょうか。これを明らかにして、現状を変えようとする研究が進められています。
参画率を上げたプロモーション
これはスポーツをする女性の増加の阻害要因でもありますが、調査によりその要因には偏見が影響していると考えられています。例えば「体形を指摘されるのが不安」「下手なのにやっていると思われたくない」といった周囲からの外圧による不安要素が「スポーツをしたい」という意欲を上回り、スポーツの優先順位を下げてしまうのです。
以前、イギリスではこの結果を受けて、スタイリッシュな体形じゃなくてもスポーツをしていいという趣旨の広告が出稿されました。またYouTubeでも一般人がスポーツを楽しんでいる動画がアップされました。その結果、女性のスポーツ参画水準が上がったという事例があります。これは偏見を改め、「どんな人でもスポーツを楽しんでいい」という風潮を意図的に作り出したことで導かれた結果にほかなりません。スポーツには文化と社会が密接に関わっていることの証左となりました。
社会的偏見を取り除く次なる一手
女性コーチが増える社会となるためには、女性コーチが仕事を継続しやすい環境の整備、そして女性コーチをめざす人材の増加促進という両輪で進めていくことが重要です。
環境の整備は社会そのものの変化が必要な分、難しさはあります。それでも、日本代表コーチなど目立つポジションへの登用、ロールモデルの実現、コーチングを経験できる場を現役アスリートに提供するなど、各競技団体で課題解決に向けた動きが出始めてきました。こういった取り組みを続けるとともに、社会的な偏見を取り除く一手を模索する研究は今も進められています。
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順天堂大学 スポーツ健康科学部 助教 三倉 茜 先生
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