抗菌薬を無効化する薬剤耐性菌の巧妙な手口を解明せよ!

薬剤耐性菌ができる仕組み
抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」が、医療現場で大きな問題となっています。細菌が薬剤耐性となってしまうのは、突然変異や外部からの遺伝子の獲得が原因です。突然変異や外部から遺伝子を獲得して細菌がバージョンアップした結果、「薬が分解される」「薬の標的が変形して結合できなくなる」「薬が細胞に入りにくくなる」「薬が細胞から排出される」といった仕組みで薬が効かなくなります。それらの中で、薬剤耐性菌が薬を排出するメカニズムについて研究が行われています。
薬が効かない緑膿菌
薬剤耐性菌は細胞膜上にある「薬剤排出ポンプ」を使って細胞内に入ってきた薬を細胞外へ排出します。一般的な薬剤排出ポンプは一種類の薬を排出しますが、中には多くの種類の薬を排出してしまう「多剤排出ポンプ」もあります。もともと薬が効きにくい「緑膿(りょくのう)菌」などが多剤排出ポンプを獲得して多剤耐性菌になってしまうと、治療が大変困難になります。そこで、多剤耐性のメカニズム解明をめざし、遺伝子操作によって緑膿菌の排出ポンプの遺伝子を発現させたり破壊したりして薬剤耐性との関係を調べたり、臨床検査で得られた耐性菌の原因遺伝子を調べたりといった研究が行われています。
遺伝子操作が難しい細菌
結核菌のなかまの「非結核性抗酸菌」も薬が効きにくい細菌で、臨床現場で大きな問題となっています。非結核性抗酸菌の薬剤耐性のメカニズムはよくわかっていません。その理由の一つは、メカニズムの解明に必要な遺伝子操作が非結核性抗酸菌では難しいことです。遺伝子を発現させたり壊したりする方法は細菌の種類によって全く異なっています。そこで、緑膿菌などの研究で培われた知識や経験をもとにして、非結核性抗酸菌での遺伝子操作の技術を確立するところから研究が進められています。
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愛媛県立医療技術大学 保健科学部 臨床検査学科 基礎検査学講座 教授 美間 健彦 先生
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