高齢者は運転NG? 脳波を使って運転中の注意力を測定

高齢者は運転NG? 脳波を使って運転中の注意力を測定

脳波で運転中の注意力を測定

高齢者ドライバーによる交通事故は社会問題となっています。高齢者の免許更新の際には認知機能検査が実施されますが、必ずしも運転時の注意力の低下に一致するものではなく、物忘れがあっても運転能力は衰えていない人もいます。そこで、地方に住む高齢者や、車での移動を生活の楽しみとしている高齢者から必要以上に運転の機会を奪わないよう、運転中の注意力を脳の電気活動(脳波)で測定する研究が行われています。

注意力の配分

高齢者以上に事故率が高いのが初心者ドライバーです。研究では、まず初心者ドライバーと毎日運転している40代、50代のベテランドライバーの脳波が測定されました。被験者には脳波計を装着してドライビングシミュレータで教習コースを走ってもらいます。その間、一定の間隔で低い電子音を鳴らし、時々高い音が鳴ったら左足のペダルを踏んでもらいます。脳は何かに注意が向くと、P300と呼ばれる「事象関連電位」が300ミリ秒後に脳波に現れますが、注意力が欠けている人はこのP300が遅れて出たり、小さく出たりします。つまりP300を測定することで、運転をしながらもとっさの出来事に注意を向けられているのかがわかるのです。
測定の結果、ベテランドライバーは注意力をうまく配分して正確に運転しながら音にも反応できていました。初心者ドライバーは音にばかり注意して運転がおろそかになってしまったり、反対に運転だけに注意がいって音に反応できなかったりと注意力に偏りがみられました。研究では高齢者の測定もスタートさせています。

運転中の生の脳波を正確に測定!

脳波の測定では、眼球運動や運動で発生する起電力がノイズとなります。眼球からは脳波よりも大きな電圧が発生しているのです。特に運転では目が動くため、眼球からのノイズを抑えるためには、一般の脳波検査にない工夫が必要となります。実用化に向けてできるだけ簡便にノイズを除去する方法について研究が進められています。

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愛媛県立医療技術大学 保健科学部 臨床検査学科 准教授 岡村 法宜 先生

愛媛県立医療技術大学 保健科学部 臨床検査学科 准教授 岡村 法宜 先生

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病態検査学、生理学、神経科学一般

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メッセージ

医療研究の最先端というと、DNA解析をはじめとする分子生物学的な研究が思い浮かぶかもしれません。確かにDNAを調べればいろいろなことがわかりますし、遺伝子研究の功績には多大なものがあります。しかし人の気持ちや認知能力などは必ずしもDNAからはわかりません。生き物は塩基配列だけで理解できるものではなく、私自身これまでの研究生活で、DNAで測れない生き物の強さを目にしてきました。最先端の技術に偏らず、生き物は「しなやかで柔軟性を持った強いもの」だということを学んでほしいです。

愛媛県立医療技術大学に関心を持ったあなたは

愛媛県立医療技術大学は、看護学科と臨床検査学科の2学科で構成されています。大学生活を通して、人としての豊かさ、保健医療専門職としての倫理観、専門分野の知識・技術、自ら考え行動する実践力などを培うとともに、卒業後の活動においても、常に将来を見据え社会の変化や保健医療の進歩に的確に対応できる主体性や課題解決能力を身につけて欲しいと考え、カリキュラムを編成しています。
また、看護学科卒業後の進路として助産学専攻科(1年制)を併設するなど、地域の保健医療福祉に貢献できる人材の育成に努めています。