「遊びから生まれる表現」の可能性

遊びが学びにつながる
幼児教育では、まず遊びがあり、その中から学びが生まれていきます。造形・音楽・身体表現などは「表現」という一つの領域として捉えられ、子どもは遊びを通して感じたことを自分なりに表します。一般に絵画や音楽は技術の巧拙で語られがちですが、幼児の表現を優劣で評価することはできません。プロの作家にも学生にも幼い子どもにも固有の世界があり、比べることはできないからです。このような価値観にもとづく幼児教育は、小学校以降の専門化された学びとは異なる視点から、表現の根源とその豊かさを見つめ直すきっかけになります。
造形表現のプロセスから音楽を生み出す
「表現」教育の一環として、遊びから生まれる造形と音楽とをつなぐ研究が進められています。その特色は、「絵を見て音をつける」といった静的な対応ではなく、絵が生まれていく途中のプロセスそのものを音楽へと転化していく点にあります。造形活動には、完成した作品だけでなく、絵の具が混ざり合う瞬間、手の動き、素材の偶然的な変化など、過程の中に多様な要素が含まれています。それら一つひとつを丁寧に観察し、分析することで、過程を重視する視点や「遊びから学びへ」の連続性を見いだしていくのです。
そもそもアートとは?
技術の有無に左右されず、誰もが遊びながら表現できる方法の一つに、絵の具をつけたビー玉を転がして絵を描く「ころがし絵」があります。これを大きく発展させて、7m×4mの巨大な紙にボールを転がし、絵の具の飛び散り方や軌跡の変化を体で感じる活動が行われています。その体験を振り返り、表現が生まれるプロセスを詳細に分解して見つめ直します。次に「ここにはどんな音が合うだろう」「動きの変化をどう音で表せるだろう」と話し合い、即興的な音楽を生み出します。
こうした活動から、遊びを通して造形表現から音楽表現へ転化させる具体的な実践モデルが構築されています。このモデルは、幼児教育に役立つだけではなく、アートの根源的なところの探究にもつながっています。
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名古屋学芸大学 ヒューマンケア学部 子どもケア学科 幼児保育専攻 准教授 水谷 誠孝 先生
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