映画の中の恐竜が強そうに見えるのはなぜ?

ティラノサウルスはなぜ強そう?
1993年に公開された映画『ジュラシック・パーク』は、恐竜を科学の力でよみがえらせたテーマパークが舞台で、ラストシーンでは凶暴なヴェロキラプトルと、巨大なT・レックス(ティラノサウルス)が戦います。T・レックスは2匹のヴェロキラプトルを圧倒的な力で倒したあと、勝利の雄たけびを上げます。まさにT・レックスの強さを感じさせるシーンですが、T・レックスが相手を倒すというストーリーや能力の高さ以外にも、映像の工夫がその強さを際立たせています。
強さを際立たせる工夫
工夫の一つが、画面内の曲面や線の活用です。恐竜たちが戦ったビジターセンターは円形の建物で、壁がカーブを描いています。しかし序盤でこの建物が登場したときは、工事用の足場や天井からつり下げられた恐竜の化石によって、壁のカーブはほとんど見えていません。一方で、終盤の戦いでは恐竜たちが暴れ回ることで、飾られた化石が地面にたたき落とされ、足場も崩れていきます。その結果、壁の曲面が見えるようになります。曲面には、映像に躍動感やスピード感を与える効果があります。そんな曲面の前にT・レックスを立たせることで、迫力が増すのです。さらに雄たけびを上げた瞬間、上から細長い布が落ちてきて、T・レックスと斜めに交差します。斜線にも躍動感を与える効果があるため、T・レックスがより強そうに見えるのです。
映画を読み解く
映画を見てなぜ観客の心が動いたのか分析するのが、「映画を読み解く」という研究です。脚本や登場人物、カメラの構図や動き、照明、美術や衣装の雰囲気など、映画を多角的に分析します。すると多くの作品は古典映画から継承されてきた「古びない知識」を基盤にしていることがわかります。画面内の線などを使って特定の効果を生み出す表現も、音声のないサイレント映画の時代に発展した「映像で語る」手法の一つです。現代の作品と古典とのつながりなど、映画を読み解くための研究や教育が行われています。
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名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科 教授 御木 茂則 先生
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