アフリカの農村に、グローバルな問題の縮図が見える

アフリカの農村に、グローバルな問題の縮図が見える

カカオ農家はチョコレートを知らない?

あなたは「アフリカ産のチョコレート」を見たことはあるでしょうか。チョコレートの原料であるカカオの大半はアフリカで作られています。しかしその大部分は、ヨーロッパや日本など先進国の工場で加工されて製品化されるため、「アフリカ産」と表記されるものはほとんどありません。アフリカでもチョコレートは販売されていますが、大手メーカーのものが中心であり、「カカオ農家でありながら、自分たちが育てた原料で作られたチョコレートを食べたことがない」という状況が起こっています。

「豊かさ」「貧しさ」とは?

農業経済学は、統計などの「数字」を扱うだけでなく、カカオ生産地域を訪ねて、農民と一緒に働き、生活を共にするフィールドワーク型の研究も行われています。アフリカには砂漠だけでなく広大な熱帯雨林地帯も含まれており、そこではイモやトウモロコシ、プランテン(リョウリバナナ)など、さまざまな主食作物が豊富に採れます。お金はあっても主食がほぼ米だけの日本と比べると、「豊かさ」の意味は揺らぎます。
もちろん、彼らにとっても、医療費や子どもの教育費など、お金の問題は非常に重要です。世界市場と密接に関わるカカオ価格の変動や、大雨を含む気候変動、あるいは都市化による若い世代の流出など、村で安定的に農業を営むことは年々難しくなっています。現金を十分に得られない人々も少なくありません。

現地を見ることで世界を知る

このように、研究対象がアフリカの小さな農村であっても、フィールドワークを含む質的な手法も交えた研究を重ねることで、市場経済や貧困、環境問題など、グローバル規模の問題に行き当たり、さらに、その中でどうすれば小さな村々の人たちがより幸せに暮らせるのかを考えることができます。今後も研究が継続され、その成果が生かされれば、いつかアフリカのカカオ農家の人たちが、「自分たちが育てたカカオで作るチョコレート」を口にできる日が訪れるかもしれません。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

京都大学 農学部 食料・環境経済学科 農学原論 准教授 坂梨 健太 先生

京都大学 農学部 食料・環境経済学科 農学原論 准教授 坂梨 健太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

農業経済学、農業社会構造、地域研究

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メッセージ

高校時代は進路に思い悩む時期かもしれませんが、面白いと思えることに出会える楽しい時期でもあります。近所の人や普段話さない人とも話をして、多くのきっかけをつかんでください。私も最初から農業経済学を学びたいという強い気持ちがあったわけではありません。現在、何をしたいか具体的に思い浮かばなくても、少し気になっていたことが後になって自分の興味関心につながることもあります。勇気を出して普段とは異なることに一歩踏み出してみましょう。それがあなたの視野を広げてくれるはずです。

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京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。