ブドウは得意でリンゴは難問? AIが挑む果樹農業

AIがブドウの異変を見抜く
近年人気のブドウ品種シャインマスカットの栽培では、「未開花症」と呼ばれる生理障害が起こることがあります。正常に花が開かないため実がつかず、収穫量に影響を及ぼします。兆候は開花前に現れるので、早期に発見すれば対応できますが、目視での判断が難しく、熟練の農家でも見落とすことがあります。そこで、開花前の画像から未開花症をAIが検知する技術が開発されました。AIに大量の画像を学習させ、現在は9割以上の確率で未開花症を識別できるようになっています。さらに、スマートフォンで撮影した画像で判定できる仕組みの開発も進んでおり、誰でも手軽に使用できるアプリケーションとなることが目標とされています。
実は難しいリンゴの等級判定
一方で、リンゴの等級判定はAIにとって難関です。リンゴは形・色・傷の有無などで等級が分けられますが、現在は人の目で判断しているため、大量の作業ではエラーも生じます。そこでAIによる自動選果が研究されているのですが、現在のところ判定精度は7割程度にとどまっています。AIは人間の判断を元に学習するため、そもそもの基準に揺れがあると精度が安定しません。シャインマスカットの未開花症のように明確な正解がある場合はAIが高い力を発揮しますが、人の感覚による部分が大きい場合、AIの導入にはさらなる工夫が必要なのです。
果樹生産を支えるAI技術
将来的には、畑全体をドローンで撮影し、生育のばらつきや障害の発生をAIが解析して示すといった技術の実用化も期待されています。果樹農業はほかの作物に比べて大量生産が難しく、手間のかかる管理が欠かせません。また、農家の高齢化や人手不足も深刻で、経験に基づく判断を持続させることが難しくなっています。こうした課題に対し、AIは農家の経験知を補完し、品質の向上と作業の効率化を同時に支える技術として注目されています。美味しい果物を安定して育てるために、AIは果樹生産に欠かせないパートナーとなりつつあります。
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