講義No.15667 教育 社会学

学校は本当に男女平等? 教育に潜む「当たり前」を見直す

学校は本当に男女平等? 教育に潜む「当たり前」を見直す

当たり前を疑う

教育社会学は、当たり前だと思っている学校や教育の仕組みを一歩引いて見直し、問い直す学問です。例えば、日本では約7割の人が「学校教育はすでに男女平等」だと考えています。この数字をうのみにせず、本当に平等なのかを検証して、実態を浮かび上がらせるのです。
明文化された制度やカリキュラムでは男女平等が実現されていても、授業中の何気ない声かけや、部活動での役割分担はどうでしょうか。無意識のうちに「男子はこう」「女子はこう」という前提が入り込んでいないでしょうか。こうした「隠れたカリキュラム」の方が、明示的なものよりも強く役割意識を植え付けている可能性があるのです。

実現済という意識の壁

「すでに平等である」という認識が強いため、学校現場ではジェンダーに関する教育の優先順位は低くされがちです。いじめ対策や学級経営の方が喫緊の課題だという意見が多く聞かれます。しかし、ジェンダーの視点こそ、すべての教育問題に対応するための基礎中の基礎です。一人一人を性別で決めつけず、その子自身として見れば、より適切な支援ができるはずです。
ジェンダー教育を実践しようとする教師もいます。しかし、その取り組みが学校全体に広がらないのが現状です。教師たちへのインタビュー調査や学校観察を通じて、阻害要因や改善方法を明らかにする研究が進められています。

すべての人の問題として

ジェンダーの問題は女性だけのものでなく、男性も「泣いてはいけない」「弱音を吐いてはいけない」という決めつけに苦しめられています。また、男女二種類という枠組み自体が、多様な性を生きる人々の存在を見えなくしてきました。
教育は、人をつくり、社会をつくる営みです。そこにバイアスがあれば、それは次の世代にも引き継がれてしまいます。だからこそ、教育の中のジェンダー問題を明らかにし、改善していく研究が重要なのです。「当たり前」を疑い、より多くの人が自分らしく生きられる社会をめざす教育の課題に向き合うことが、教育社会学の役割です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

北海道教育大学 教育学部 国際地域学科(函館校) 教授 木村 育恵 先生

北海道教育大学 教育学部 国際地域学科(函館校) 教授 木村 育恵 先生

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メッセージ

今まで学校で経験してきたことが「普通」だと思っていませんか? 実は、知らず知らずのうちにジェンダーで決め付けられてきたかもしれません。そして、自分も誰かを決め付けてきた可能性があります。「どうせ女子だから」「どうせ男子だから」と、無意識に自分や他人の可能性を狭めていないでしょうか。「当たり前」を疑い、ジェンダーの視点で見直してみてください。それが、自分や周りの人の可能性を広げ、より多くの人が自分らしく生きられる社会や教育を作る第一歩になります。

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北海道教育大学は、北の大地北海道の主要都市(札幌、旭川、釧路、函館、岩見沢)にキャンパスを置く国内最大級の教育系大学です。教員の養成はもちろんのこと、国際地域や芸術とスポーツに特化した学科も有しており、所属する教員の研究分野は、教員養成をはじめとする大学教育に活きています。全国それぞれの地域にも教育系大学はありますが、大学生活の4年間を四季折々の美しい大自然に囲まれながら北海道で学んでみませんか。きっと充実した毎日が送れるはずです。「人が人を育てる」を合言葉に全力であなたをサポートします。