言語を科学する 「人間言語」の探究

言葉を操ることができる不思議
人類の祖先であるホモ・サピエンスが高度な言語能力を手に入れることができたのは、脳機能の突然変異によるものと考えられています。今や世界には方言や手話も含め、7000もの言語があります。人は当たり前のように言葉を使いこなしますが、ここまで高度な言語能力は、ほかの動物にはありません。なぜ、人は言葉を操ることができるのでしょうか。人間が言葉を獲得する基盤として、人は脳に「人間言語」という共通の仕組みを備えていると考えられています。私たちは言葉を獲得するにあたり、子どもの頃からたくさんの間違いを重ねますが、その間違いを分析すると、この人間言語の片りんが見えてきます。
誤りから見える人間言語の片りん
まだ日本語をうまく操れない幼児は、よく「赤い靴」を「赤いの靴」と言ったり、「パパが買ったネクタイ」を「パパが買ったのネクタイ」と言ったりします。この「の」が入る間違いに注目してみましょう。
「赤いの靴」の場合は、「赤い」と「靴」を連結するための「の」と解釈できます。では「パパが買ったのネクタイ」はどうでしょう。この「の」は、ネクタイという名詞を詳しく説明するための、英語でいうところの関係代名詞の役割を果たしていると分析することができます。なぜ日本語を使うときに、英語の文法が出てくるのでしょうか。もしかしたらほかの言語にも似た文法構造があって、これこそが人間に共通する言語の仕組み、「人間言語」の一部かもしれません。
言語から人間そのものを探る
言語を観察し、その特徴や構造を分析して、原理を明らかにしていく学問を理論言語学と言います。「なぜ」、「どうして」と、科学的アプローチで言語を探索していく先にあるのは、「人間とは何か」という根源的な問いです。なぜ言語が生まれたのか、なぜここまで多様化したのか、複雑な言語を操る人間とはいったい何か、こうした問いを解明しようと1950年代から始まったこの研究は、今も世界中で進められています。
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