徹底的に疑い、議論し、独創的な体系を生み出した日本の哲学者

「哲学」って何?
哲学というと、プラトンやデカルトなどの西洋哲学が浮かびます。ギリシア哲学から始まり、近代ではドイツ、フランスなど、西洋で発展してきた、小難しい学問として考えられがちです。誰しも哲学の「イメージ」はあるものの、哲学とは何かを説明することが難しいでしょう。
本講義では、われわれは哲学を「独断から解放されるため当たり前にされてきた事柄をどこまでも批判的に問い直そうとする」学問として理解し、そういった意味での哲学は日本にもあったかどうかについて検討します。
日本における西洋哲学の輸入と発展
西洋哲学が日本に導入されたのは、明治維新以後、西洋の文化が積極的に取り入れられるようになった時期です。当時は、封建制度から民主主義へと政治体制が大きく転換した時代であったため、「どのような哲学や思想に基づいて社会制度を築くのか」という実践的な目的のもとで、西洋哲学が受け入れられたという背景があります。
しかし、時代が進むにつれて、日本における哲学は政治のためだけではなく、さまざまな場面で展開されるようになり、次第に独創的で興味深い哲学が日本国内に現れるようになりました。
純粋経験に立ち返ることで哲学をする西田幾多郎
「日本で初めての独創的な哲学者」と言われているのが、西田幾多郎です。西洋哲学をそのまま取り入れるのではなく、中身を徹底的に疑い、議論し、日本の伝統的な思想も考慮して、体系的で独自の哲学を構築し、『善の研究』という本を書きました。
『善の研究』の画期的な点は、アイデアの独自性とともに、「徹底的に疑い、議論し、体系をつくる」という、哲学には欠かせない手法にあります。例えば、多くの人は「経験は主観的なものだ」と考えるでしょう。しかし、『善の研究』では、西田はその常識を疑い、経験のほうが個人の主観的な意識に先立っている、という議論を丁寧に展開しています。この点において、西田は現在でも世界的に読まれている独創的な哲学者だと言えるでしょう。
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東京都市大学 デザイン・データ科学部 デザイン・データ科学科 准教授 リチャード ストーン 先生
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