増えすぎる野生動物の実態を調査し、人間との関係を考える

野生動物の増加によるさまざまな問題
シカやイノシシなどの野生動物の増加により、農作物や人への被害、生態系への影響など、さまざまな問題が生じています。増えすぎた動物の数を調整するために捕獲や駆除が求められる一方で、人間の介入に違和感を覚える人もいます。そもそも「人間と野生動物との共存・共生」とはなんでしょうか。それを明らかにするためには、野生動物の個体数や食べているもの、分布域などの基本的なデータを、長期間継続して蓄積する必要があります。同時に、社会的なニーズの調査も求められています。
自動撮影カメラが解き明かす実態
北海道の洞爺湖周辺では、30年以上にわたってシカの調査が続けられてきました。こうした調査の結果、シカの個体数の変化や、シカと植物との関係の変化などが明らかになっています。研究を支えている道具の一つが、温度と動きに反応して撮影する自動撮影カメラです。長野県でも同じように、シカがどれだけいるのかを把握するために自動撮影カメラを設置し、長期的な変化の調査を開始しました。シカの個体数の変化には、大きな地域差があります。もともと暖かい場所に住んでいたシカが、温暖化により寒い地域にも分布を広げており、対策の遅れた地域で大きな被害が出ていることが、調査から見えてきました。
「豚熱」とイノシシの関係
ブタとイノシシに特有の伝染病が「豚熱」です。伝染性が強いため、養豚場で感染が起きると、すべてのブタを殺処分しなくてはならず、養豚業に大きな打撃を与えます。岐阜県では、野生のイノシシの感染状況や行動範囲などを把握するため、イノシシの調査が行われました。豚熱によって野生のイノシシの数が4分の1くらいにまで減った地域もあります。しかし、イノシシが豚舎に入った様子はなく、中型の哺乳類や鳥がウイルスを媒介している可能性が考えられています。
このような基礎的な調査研究によって、人間と野生動物の共存の道を探っているのです。
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