食品の「おいしさ」をつくるのは、味だけじゃない

食品の「おいしさ」をつくるのは、味だけじゃない

味よりもおいしさに大切なものとは?

「おいしい食品」というと、「味が良いもの」とイメージしがちです。実はそれよりも食品の物性である「食感(テクスチャー)」が大切だということが研究でわかってきました。例えば煎餅は、サクサクはおいしいけれど、湿気ているとおいしくありません。また白飯も、炊きたてでもちもちはおいしいけれど、冷めたパサパサのものはおいしくありません。そこで食品メーカーは、人間が行う官能評価と機器の測定などにより、より良い食感をめざしています。

人間VS機器のおいしさ評価対決

しかし、人間の評価と機器計測にはどうしてもズレが生じます。機器測定は、食品を押しつぶして、センサが計測した抵抗値から食感を評価します。それに対して人間は、食品を咀嚼する音や振動が空気中から内耳に伝わる情報と、頭蓋骨から内耳へ伝わる情報とを脳で処理をしています。情報が伝わる系(システム)が異なるため、機械と人間ではズレが生じるのは当然なのです。
しかし、ズレを解消するために、振動を統計的に解析して、例えば「サクサク食感」が特定の周波数と相関にあることを証明するという方法があります。その際にたまたま相関になる疑似相関を避けるため、特定の周波数を抜いた振動と、特定の周波数を強めた振動を人間に与え、どちらに「サクサク食感」が感じられるかを確認します。

おいしさは時間とともに変化する

また、おいしさには時間的変化も影響しています。人間は時間をかけて、食品をかみ砕き、唾液を混ぜて飲み込んでいるからです。例えば、リンゴはかじったときに香りの揮発成分が鼻に抜けますが、チョコレートは口中で少しずつ溶けて風味が広がります。口に入れてから飲み込むまでの数十秒間に味・香り・食感は変化するのです。そこで、人工咀嚼(そしゃく)装置を開発して、かみ砕く~飲み込むまでに変化する固さ・粒子の大きさ・香り成分などの情報を分析し、時間的変化から「おいしさ」を解明しようとする研究が進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

岐阜大学 応用生物科学部 食農生命科学科 教授(学部長) 西津 貴久 先生

岐阜大学 応用生物科学部 食農生命科学科 教授(学部長) 西津 貴久 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

食品工学

メッセージ

「数学が嫌い」「英語が嫌い」など、嫌いなものをつくると損をすることがあるかもしれません。嫌いなものでも好きと思っていれば段々と好きになりますし、嫌いなものを増やさずに何にでも関心を持つことが学生生活や人生を豊かにするはずです。私の所属する応用生物科学部は農学部を前身にしており、生物・化学・物理をベースに幅広い分野を学べる学部です。世界的な課題であるフードロス問題から環境問題まで、生物を中心に横断的に学べる環境が整っています。興味がある方、ぜひ一緒に学びましょう。

岐阜大学に関心を持ったあなたは

岐阜大学は、「学び、究め、貢献する大学」の理念の下、「豊かな人間性」を備えた「高度専門職業人」を育成することをめざします。
すべての学部・研究科が1つのキャンパスにある特徴を教育・研究の両面に生かし、特に、高度な専門職業人の養成に主眼を置いた教育、教育の基盤としての質の高い研究、地域に根ざした国際化を展開し、地域社会の活性化の中核的拠点として、地方創生の一翼を担います。