GNSSを使った地殻変動の観測で、地震の姿を捉える

GNSSを使った地殻変動の観測で、地震の姿を捉える

さまざまなことがわかる地殻変動の観測

世界有数の地震大国である日本では、多くの研究者が地震の研究に取り組んでいます。しかし、地震の予知はもちろん、そのメカニズムについても未解明な点は少なくありません。
そうした中で進められているのが、GNSS(全地球測位システム)を活用した研究です。GNSS衛星から発する電波を地表で受信し、その場所が、どの程度、どの方向に動いているのかを詳しく測ります。地震の原因となるのは、地下の岩盤に集中する力とそれによる変形(ひずみ)です。GNSSの観測を継続的に行うことで、そのひずみの状態が明らかになるのです。また、地震による地殻変動を検知すると、地震を発生させた断層の位置や深さを推定することも可能です。
例えば北海道には、国土地理院や大学などにより200箇所を超えるGNSS観測点が設置されています。これらに加え、近年は民間企業の独自の観測網も活用され、より細かい地殻変動が捉えられるようになってきています。

充実が図られる海の観測網

さらに、海域での観測強化も進められています。GNSS衛星の電波は水中には届かないため、船を中継します。船と海底の観測機器は音波を用いたシステムで結ばれており、定期的に船を運航することでデータを収集します。現在、太平洋側のプレート境界近くを中心に、巨大地震に備えた海の観測網の充実が図られています。
これら海底の地殻変動と、探査船「ちきゅう」などの海底調査による海底岩盤の状態などをあわせて調べることで、プレート境界の構造や、地下の力の状態がどのようになっているのかが明らかになります。

AIによる地震の解析

地震が多い日本には膨大な量の地震波形のデータが蓄積されていますが、現在、それらをAIで解析する研究も進められています。地殻変動のデータや岩盤の状態、さらにAIを用いた地震波形の解析などを組み合わせることで、地震の実像に近づくでしょう。こうした取り組みにより、地震のメカニズムの解明や、将来的な予知につながると期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

北海道大学 理学研究院 地震火山研究観測センター 教授 大園 真子 先生

北海道大学 理学研究院 地震火山研究観測センター 教授 大園 真子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

測地学、地震学、火山学、固体地球物理学

メッセージ

あなたは「これは向いていないだろう」「これは無理だろう」という具合に、自分に制限をかけていませんか。周囲に影響されて、「やはりやめておこう」と思ってしまうこともあるでしょう。しかし、先読みばかりしていては前に進めません。そうした制限はいったん取り払って、とりあえず取り組んでみましょう。サイエンスの世界に限らず、興味のあることに挑戦してみるのです。挫折することもあるでしょうが、それも未来の糧になります。夢中で取り組んでみれば、意外と物事は何とかなるものです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

北海道大学に関心を持ったあなたは

北海道大学は、学士号を授与する日本最初の大学である札幌農学校として1876年に創設されました。初代教頭のクラーク博士が札幌を去る際に学生に残した、「Boys, be ambitious!」は、日本の若者によく知られた言葉で本学のモットーでもあります。また、140余年の歴史の中で教育研究の理念として、「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」、「実学の重視」を掲げ、現在、国際的な教育研究の拠点を目指して教職員・学生が一丸となって努力しています。