化石は語る 恐竜時代の海から未来を考える

化石は語る 恐竜時代の海から未来を考える

断片から命を読み解く海生爬虫類

日本では東北地方などから、「魚竜」「首長竜」「モササウルス類」など、海に生息していた爬虫(はちゅう)類の化石が多く発掘されています。これらの海生爬虫類は、中生代と呼ばれる恐竜が栄えていた時代の生き物です。しかしすでに絶滅しているため、その姿や行動を直接観察することはできません。そこで、残された化石を手がかりに、体の形や暮らし方、生きざまを推測していきます。一つ一つの情報を丁寧につなぎ合わせ、パズルを完成させるように生き物の姿を復元していくのです。重要なのは、骨だけでなく、その生き物が生きていた痕跡全体に目を向けることです。

ふんの化石が教えてくれる食生活

生活の痕跡の一つが「ふんの化石」です。一見するとただの石のようですが、中を調べると魚の骨や、タコやイカのかけらが含まれていることがあります。そこから、どのようなものを食べていたのかが推測でき、さらに食物連鎖の中での位置づけも見えてきます。実は、このようなふんの化石は珍しいものではなく、一度見つかると同じ地層から複数発見されることも少なくありません。これまで注目されてこなかっただけで、実は身近に存在していた可能性もあります。大切なのは、「何があるか」ではなく、「そこから何を読み取るか」です。形の観察や文献との比較に加え、CTスキャンや顕微鏡観察なども用いて、断片的な情報を総合し、生態の復元が進められています。

古生物研究が未来に示すもの

古生物学は、過去の生き物の進化を明らかにする学問であり、また私たち人類の未来を考える手がかりにもなります。地球の歴史では、生物の多くが一度に姿を消す「大量絶滅」が何度も起きてきました。その中で、どのような特徴を持った、どのような生き物が生き残ったのかを知ることは、環境が大きく変化する現代社会において重要な視点を与えてくれます。過去の海に生きた爬虫類の研究は、生命のしぶとさや限界を知る手がかりとなり、これからの地球と生き物の関係を考えるヒントにつながっていくのです。

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先生情報 / 大学情報

東京都市大学 理工学部 自然科学科 准教授 中島 保寿 先生

東京都市大学 理工学部 自然科学科 准教授 中島 保寿 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

古生物学、動物学、形態学、地質学

メッセージ

高校の大きな魅力は、専門が細かく分かれておらず、幅広い分野を学べる点です。大学に進むと専門性を高めるために学ぶ範囲が絞られていき、一見関係なさそうな分野を学び直すことは難しくなります。でも、自然を対象にする研究分野では、理科だけでなく、数学、英語、歴史など、さまざまな学びが後になって必ず役立ちます。苦手な教科があっても、入り口を少し越えるだけで理解が進み、楽に学べることも多いものです。選択肢が多い今だからこそ、好き嫌いで切り捨てず、粘り強く幅広く学んでください。

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2029年に100周年を迎える東京都市大学は2009年に武蔵工業大学から校名を変更。武蔵工業大学時代の伝統を引き継ぎつつ、自動車、エネルギー、建築、情報といった理工学分野に加え、環境、IoT、メディア、教育など数多くの専門分野を網羅する総合大学として成長を重ねています。今後も東急グループの一員としての強みを生かし、産学連携や地域社会との共同研究を積極的に進めつつ、未来の都市生活を創造し、そのなかで能力を発揮できる専門性と実践力を養成する「都市の総合大学」として、たゆまぬ発展を続けていきます。