講義No.15718 看護学

「その人らしい出産」をかなえるために必要な助産師の視点

「その人らしい出産」をかなえるために必要な助産師の視点

出産における希望は十人十色

赤ちゃんを産む時にどのように過ごしたいか、という希望は人それぞれ違います。助産師は状況に合わせた適切なケアをするように心がけていますが、それが必ずしも本人の希望に沿っているとは限りません。例えば、出産後の出血を抑える目的で腹部に氷枕を当てるケアを行うことがありますが、これを「安心する」と感じる人もいれば、「寒くて不快だ」と感じる人もいるのです。
出産後の女性に話を聞く調査では、「本当は好ましくない」と感じつつも、提案されたケアを受け入れたことがあるという声も聞かれました。背景には、ケアのメリットやデメリットが十分に伝わっていなかったり、ほかの選択肢を知らなかったりすることが関係していると考えられます。

「出産の時間が短くなる」の「短い」の定義は?

出産後の女性の多くの方が「出産の時間は短い方が良かった」と言います。では、短いとはどれぐらいの時間を指すのでしょうか。調査によると、「3分でも短ければ十分嬉しい」という人もいれば「7~8時間短い方が良かった」という人もいました。つまり、同じ「短い」という言葉でも、その捉え方は人によって大きく違うのです。
助産師が妊産婦の希望に沿ったケアを一緒に考えるには、本人がどのような希望を持っているかを丁寧に確かめることが出発点になります。その上で、医療的にできること・できないことを見極めながら、一人一人が納得できるケアにつなげることが大切です。

知りたい情報が得られるツール開発へ

出産をよりその人らしい経験にするためには、妊婦一人一人が希望する選択肢を、納得して選べることが大切です。そのため、妊娠中から必要な情報をわかりやすく得られるツール作りが進められています。
ツール作りに向けて必要なのは、多くの妊産婦のリアルな声を集めて、どんなことを知りたいのか、何を大事にしたいのかを体系的に整理することです。さらに助産師や医師と連携し、医学的な根拠をそろえながら、妊産婦が納得できる形で情報を届けていくことが望まれています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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新潟県立看護大学 臨床看護学領域  准教授 増澤 祐子 先生

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メッセージ

高校時代に大切にしてほしいことが2つあります。1つ目は仲間をつくることです。研究も、何かを変えるための挑戦も、1人では進めません。仲間づくりで大切なのは、相手の意見を尊重した上で、自分の考えを言葉にして伝えていくことです。お互いに受け止め合い、話し合いを重ねることで議論が深まり、関係も育っていきます。2つ目は、小さな疑問であっても、そのままにせず自分で調べることです。この2つの力は、どんな分野でも土台となりますから、ぜひ興味がある分野で発揮していってください。

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新潟県立看護大学は「看護学」に特化した県立の単科大学です。学部から大学院博士後期課程まで開設しており、看護学のエキスパートが一貫した看護教育課程を提供しています。
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