化粧品はどうやって肌に届く? 皮膚浸透メカニズムの研究

皮膚のバリアを突破せよ!
ハンドクリームや美容液といった皮膚に塗る化粧品は、どれほど良い成分が配合されていても、皮膚に浸透しなければ効果は発揮されません。また、成分や目的によって、どこまで浸透させるかも異なります。
皮膚の表面にある「角層」は、外部から有害な物質が侵入するのを防いでおり、化粧品や医薬品に対しても同様に働いてしまいます。そのため、このバリアをどう通過させて、どこまで届けるかが重要な研究テーマとなります。
分子レベルで見る浸透
角層は角質細胞とその隙間を埋める脂質層で構成されています。角質細胞は硬く、透過しづらいため、物質は主に脂質層を通って浸透します。脂質層は油性のため、水に溶けやすい親水性物質はなじまず、通過できません。また、高分子の成分も分子が大きいため通過が困難です。現在、成分を極小のカプセルに包んで届ける方法や、皮膚への浸透を助ける物質を利用する方法の研究が進められています。
そこで、極小のカプセルのような構造をもつ「マイクロエマルション(ME)」や、皮膚への浸透を助けるリン脂質からなるディスク状の構造体「バイセル」に着目した研究があります。X線や中性子散乱という方法を用いて、MEの皮膚内部での挙動を観察した結果、角層が含む水分量が多いほどMEが角層を通過しやすいことがわかりました。さらに、MEが角層内の水分を取り込みながら浸透するため、親水性薬剤の保持が安定することも示唆されました。また、バイセルを先に塗布すると、通常では透過しない分子量1万4千の高分子モデル医薬品でも皮膚の真皮層まで届けられることも実証されています。
化粧品から医薬品まで
こうした研究結果は、ヒアルロン酸のように、通常は皮膚表面にとどまる成分を角層内部まで浸透させることを可能にするかもしれません。また、美容分野だけでなく、アトピー性皮膚炎や皮膚癌の治療薬の開発など、医療分野への応用も期待されており、美容と医療の両分野をつなぐ研究が進められています。
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佐賀大学 コスメティックサイエンス学環 准教授 櫻木 美菜 先生
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