かつてリーダーだった女子が、なぜ管理職にならないのか

子ども時代のリーダーと大人の現実
学校生活では、女子が委員長や部長を務める場面は珍しくありません。ところが社会に目を向けると、管理職に就く女性の割合は急に低くなります。この大きな落差の背景には、「ジェンダーステレオタイプ」と呼ばれる固定的なイメージが関わっている可能性があります。「男性はリーダーシップがある」「女性は思いやりがある」といった固定観念は、本人の能力とは無関係に進路やキャリアの選択に影響を与えているのです。心理学では、こうした目には見えない影響がどのように人の行動を左右するのかを、データを基に解き明かしていきます。
同じ力を示しても評価が変わる
管理職に必要とされるのは、主体性や決断力などのリーダーシップで、心理学では「作動性」と呼ばれる特性です。欧米の研究では、女性が作動性を示すと「支配的だ」と否定的に見なされ、同じ態度を示す男性よりも評価が下がる「バックラッシュ効果」が繰り返し確認されてきました。ところが日本で同様の検証を行うと、作動的な男女の評価差は明確に見られませんでした。日本社会では男性にも思いやりや協調性が求められるため、作動性だけでは評価が決まりにくいと考えられます。ジェンダーステレオタイプの影響は、国の文化や社会のあり方によって現れ方が異なるのです。
見えない壁はどこにあるのか
では、日本で女性管理職が少ない原因はどこにあるのでしょうか。国内の追跡調査では、女性社員の昇進意欲が働き始めてから数年間で低下する傾向が報告されています。主に女性が担当する仕事についているか、専門能力を高めたいと思っているか、仕事満足度が昇進意欲に影響していることから、業務の割り振りや上司の指導における男女差が影響している可能性が考えられます。ジェンダーステレオタイプは他者の評価をゆがめるだけでなく、「自分はこうあるべきだ」という形で自分自身の選択をも狭めてしまうのです。その仕組みに気づくことが、性別や環境にかかわらず自分らしい進路を選んでいくための第一歩になるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

![選択:[SDGsアイコン目標5]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-5-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標8]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-8-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標10]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-10-active.png )