植物を守るアリと植物を食べたい虫たちとの仁義なき戦い

植物を守るアリと植物を食べたい虫たちとの仁義なき戦い

アリは頼れる用心棒

植物にとって「どうやって虫や動物に食べられるのを防ぐか」は重要な問題です。例えばある植物は、タンニンやアルカロイドなどの「おいしくない」物質を作って防衛します。熱帯雨林に生きる植物の中には、アリに自分の身を守らせるものがいます。花以外の場所から出す蜜や、栄養たっぷりの餌(フードボディー)、すみかに適した空洞を提供して、アリを雇うのです。その代わり、「おいしくない」物質はほとんど作りません。このように、アリと共生関係を結んでいる植物を「アリ植物」といいます。アリは、アリ植物を食べる虫を見つけると、相手にかみつきます。その姿は、持ち場を守る用心棒のようです。アリの攻撃の引き金となるのは、傷ついた葉が発する化学物質です。

アリ植物を狙う虫たち

しかしほかの虫たちにとっては、アリ植物はおいしく栄養たっぷりで、アリの働きで天敵もいないという、とても魅力的な場所です。アリ植物に近づくために、虫たちはさまざまな進化を遂げました。シジミチョウの仲間は、体から蜜を出してアリを手なづけたり、体の表面にアリやアリ植物に似た化学物質をまとってアリの目をごまかしたりしています。トビナナフシはアリが少ない古い葉を食べますが、アリがやってくると長い足をひょいと持ち上げて、やり過ごします。アリの数が増えてきて、足上げだけでは逃げられなくなると、別の葉に逃げます。

生き物たちの複雑な相互関係

タマバエは、アリの隙をついて猛スピードで卵を産み付けます。孵化した幼虫は植物組織を急速に肥大させて、アリから隠れます。アリと似たサイズのカメムシは、アリへの報酬であるフードボディーを食べているらしいことがわかってきました。また、アリ植物に来る別のカメムシは、アリ植物でもアリでもない、何か別のものを食べている可能性があります。虫たちはさまざまな戦略を立て、アリやアリ植物、そしてそこに集まるほかの生き物たちと複雑な関係を築いています。このような関係を一つずつ解きほぐしていくと、生物の多様性が見えてくるのです。

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先生情報 / 大学情報

島根大学 生物資源科学部 環境共生科学科 助教 清水 加耶 先生

島根大学 生物資源科学部 環境共生科学科 助教 清水 加耶 先生

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昆虫生態学、環境学

メッセージ

あなたはまだ自分がこれから進む道を決められていないかもしれません。でも今はまだ、おもしろいと思うものをキャッチするアンテナを、せっせと立てている時期なのかもしれません。私は高校生のとき、分子生物学や細胞生物学に興味を持ちました。しかし、大学では生物同士の関係を学ぶ生態学に引かれました。私のいた大学で生態学を学べる研究室は魚か昆虫の二択で、当時泳げなかった私は昆虫の研究室に入りました。私のように、大学に入ってから自分の道を見つける人もいます。大学はおもしろいことにたくさん出会える場所なのです。

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島根大学は、学術の中心として深く真理を探究し、専門の学芸を教授研究するとともに、教育・研究・医療及び社会貢献を通じて、自然と共生する豊かな社会の発展に努めています。とりわけ、世界的視野を持って、平和な国際社会の発展と社会進歩のために奉仕する人材を養成することを使命とします。この使命を実現するため、知と文化の拠点として培った伝統と精神を重んじ、「地域に根ざし、地域社会から世界に発信する個性輝く大学」を目指すとともに、学生・教職員の協同のもと、学生が育ち、学生とともに育つ大学づくりを推進しています。