昆虫が魚の養殖を救う! これまでにない素材で餌を開発

魚類の養殖、餌はどうする?
人の食料となる、ウシやニワトリといった家畜は古くから品種改良が行われています。しかし、魚類は自然に任せきりの状態が続いていました。その後、ハマチやマダイ、クロマグロなどの養殖が始まり、その餌は1990年ごろまではマイワシやアジ科の魚を原料とする魚粉が中心でした。ところが、2000年ごろから乱獲や異常気象などの影響によって、餌の原料が捕れにくくなったのです。
そこで求められたのが、新しい素材による餌の開発です。最適な餌を作るには、魚類の代謝能力や発育に欠かせない栄養素を知る必要があります。魚類が体内で生成できないビタミン類やタウリンといった栄養を餌で補うことも大切です。
昆虫はさまざまな可能性を秘めている
魚類の成長で重要な栄養素はタンパク質です。現在、魚粉の代わりに大豆やトウモロコシといった植物性タンパク質が原料として使われています。ただ、それらは人の食料であり、家畜の飼料でもあります。使い道が重なると、いずれ訪れる食糧難に対応できません。
そこで、新素材として昆虫やクロレラなどの微細藻類、菌類などが検討されています。そのうち、昆虫を主とした餌で育ったタイは、腸内細菌が増え、ビタミンB群や抗酸化作用の向上も期待されています。こうした餌は魚類の健康維持に役立ち、植物由来の餌よりもよく食べる傾向があります。
AIも含めて環境を整える
新素材の餌を実現するには、安全性の証明や法の整備、コスト抑制といった課題もあります。餌の材料となる昆虫を大量生産するシステムや、生産工場のオートメーション化も含めて検討する必要があります。
さらに、魚類は寒さや暑さによって餌を食べにくくなります。それを考慮せずに餌を与えると無駄になるため、現在はAIで魚の行動を観察し、空腹だと判断すると餌を与える自動給餌器も登場しています。そうしたテクノロジーの提案や新たな餌の開発によって、環境保全や食糧難対策へと結びついていくのです。
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東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋生物資源学科 教授 芳賀 穣 先生
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