田植えなし、冬に種をまいてお米ができる? 農家を助ける栽培技術

田植えなし、冬に種をまいてお米ができる? 農家を助ける栽培技術

減少する農業人口、手間のかかる農作業

農業は、変化する自然を相手にした、手間と労力のかかる仕事です。そのために高齢になると廃業する人が増え、また後継者が減少しているため、農業人口が減りつつあります。他方で手放された農地は数少ない若い農家に渡り、1人当たりの農地面積が年々大きくなる傾向にあります。面積が大きくなると当然、作業量も増えていきます。
米作りの場合、作業で最も時間がかかるのは、イネの種を発芽させて苗にする苗作りです。現在の日本ではイネの種を苗にしてから水田に植えるこの「移植栽培」が主流で、米作り農家の9割ほどが苗作りをしていると考えられます。

苗作りの時間を省く

そこで農作業を省力化するために近年、広まりつつあるのが、水のない乾いた田んぼに種をまいて育てる「直播栽培(ちょくはさいばい)」です。種を水がある状態でまくと、酸欠状態になって発芽できないため、芽が出てから田んぼに水を入れます。
しかし、北海道などの降雪地では、4月上中旬の雪解け後の短期間に種まきをしなければなりません。イネの生育を考えると、5月上旬には種まきを終わらせなければならず、農家の種まき作業が1カ月間に集中してしまいます。

作業時期をずらす

作業の省力化に加えて、さらに作業を分散化させる(忙しい時期にやっていた作業を、時間に余裕のある時期にできるようにする)方法として期待されているのが「初冬直播栽培」です。農作業が全般に忙しい春ではなく、ゆとりのある晩秋から初冬にかけて種をまき、越冬させて春の発芽を待つ方法です。まだ発芽率は春まきに比べると低いですが、忙しくない農閑期に作業ができるので、ほかの農作物を育てる余裕が生まれます。米作りだけではなく、高価なブランド野菜や花を作ったり、あるいは面積を広げて大規模農業を営んだり、農家が望むさまざまな要望に応えることができるのです。

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先生情報 / 大学情報

酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 准教授 林 怜史 先生

酪農学園大学 農食環境学群 循環農学類 准教授 林 怜史 先生

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作物栽培学

先生が目指すSDGs

メッセージ

中学生の頃『ファーブル昆虫記』が好きで、将来は昆虫について勉強したいと思っていました。進路としては理学部をイメージしていましたが、高校の先生は農学部を勧めてくれました。食糧問題にも関心があったので農学部に進み、現在は実際に農作物を栽培して調査することに楽しさを感じています。そんな経験から、高校生のうちは将来の目標にこだわって選択肢を狭めるのではなく、興味に幅を持たせることも大事だと思っています。農学は基本的に理系ですが、地域性や社会性も関係するので文系・理系どちらの志望にもおすすめです。

先生への質問

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酪農学園大学に関心を持ったあなたは

北海道の政治・経済の中心都市札幌から快速電車で10分、本学はそこに132haの広大なキャンパスを構えています。世界の人口が増幅を続ける中、40%前後の我が国の食料自給率は、今後ますます問題となるのは確実です。そうした環境下にあって、大地を健やかに育て、健康な食物を育み、それを食して健やかな人が育つ。こうした「循環と共生」をテーマに掲げながら、学生一人ひとりの個性や能力を最大限に引き出せるような教育を実践することを使命と考えています。