人工衛星・ドローン×AIが、防災・農業・環境を変える!

リモートセンシングと地理情報システム
人工衛星やドローンを使って、離れた場所から地上にあるモノの形や性質を測定する技術を「リモートセンシング」と言います。また、リモートセンシングによって得られた情報と地理的な位置情報を重ねて、コンピュータで分析・表示するシステムが「地理情報システム(GIS)」で、さまざまな場面で役立てる研究が進んでいます。例えば山火事や洪水などの災害の発生から2~3時間くらいの早さで被災地の情報を提供できれば、救助や復旧の準備が迅速にできるようになるでしょう。
渡り鳥やアザラシを数える
北海道美唄市の宮島沼は、天然記念物の水鳥、マガンが渡ってくる場所(中継地)としてよく知られています。ここに渡ってくるマガンの例えば「約6万羽」という数は、熟練した人の目で数えられています。しかし、この技術を持った人は少なく、後継者の養成も容易ではありません。そこで、ドローンで撮影した映像を基に、AIでマガンの数を検出するシステムが開発されました。人手不足でこれまで対応できなかった場所も、ドローンとAIで補えるようになり、環境調査に役立っています。また、このシステムを応用して、これまで陸地から数えていたアザラシについても、遠くや岩陰にいて数えられなかった個体をとらえるだけでなく、子どものアザラシを区別して数えることもできるようになりました。
雑草だけにピンポイントで除草剤散布
牧草地に侵入してしまった雑草の防除にも、画像解析が役に立ちます。ギシギシという植物は繁殖力が強く、牧草の生育を邪魔する上、牛がその味を嫌う、非常に厄介な雑草です。しかし、広い牧草地の中でギシギシだけを取り除くのは、人的・環境的な負荷が大きく、悩ましい問題でした。そこで、ドローンによる撮影とAIによる画像解析を組み合わせ、ギシギシの生えているところにだけピンポイントで農薬を散布するシステムが開発されました。現在、実用化に向けた実験が進んでいます。
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先生情報 / 大学情報

酪農学園大学 農食環境学群 農環境情報学類※2026年開設予定(設置構想中) 准教授 小川 健太 先生
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