講義No.15841 機械工学

まっすぐ落ちるはずなのに? ―流れと熱で広がる力学―

まっすぐ落ちるはずなのに? ―流れと熱で広がる力学―

高校物理のその先

自由落下する物体はまっすぐ落ちる。熱いものに水をかければ激しく沸騰する。高校物理では、このような現象を力学や熱の法則を用いて学びます。しかし現実の世界では、それだけでは説明できない現象が数多く存在します。紙はひらひらと落ち、炭酸水の泡は左右に揺れながら上昇し、液滴は高温の金属板の上で静かに浮かんで蒸発することさえあります。
こうした現象を理解するためには、物体だけでなく、その周囲の空気や液体の流れ、さらには熱の移動まで考える必要があります。大学では、流体力学や伝熱工学によって、高校物理の世界がさらに広がっていきます。

気泡はなぜ揺れながら進むのか

水中を上昇する気泡は、一見すると浮力だけでまっすぐ進むように思えます。しかし実際には、大きさによってジグザグやらせんを描きながら運動することがあります。この現象は、レオナルド・ダ・ヴィンチの時代から知られていましたが、その仕組みは長い間謎とされてきました。
気泡は上昇しながら少しずつ形を変え、その後ろには複雑な渦流れが形成されます。気泡の形と流れが互いに影響し合うことで、不思議な運動が生まれるのです。現在では、高速度カメラやレーザーを用いた可視化技術、さらに高度な数値計算によって、その仕組みの解明が進められています。

熱が変える液滴のふるまい

液滴もまた、流れだけでなく熱との相互作用によって多彩なふるまいを示します。高温の金属板では、温度が高いほど激しく沸騰するとは限りません。ある温度を超えると、液滴の下に蒸気の膜ができて液滴が浮き上がり、かえって静かに蒸発する「ライデンフロスト現象」が現れます。このような現象を観察するためには、高速度カメラに加え、高校物理でも学ぶ全反射を利用した光学計測などが活躍します。
身近な気泡や液滴には、流れ・熱・光が密接に関わる奥深い物理が隠されています。高校物理は、その世界を理解するための大切な出発点なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

弘前大学 理工学部 機械科学科 教授 城田 農 先生

弘前大学 理工学部 機械科学科 教授 城田 農 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

混相流体工学、流体可視化計測

先生が目指すSDGs

メッセージ

物理の授業で自由落下を計算しながら「これが何の役に立つのか」と感じることがあるなら、その気持ちはよくわかります。しかし、その積み重ねの先には、落ち葉が舞う理由も、泡がらせんを描く謎も、スマートフォンが熱くならない仕組みも、自分の頭で理解できる瞬間が待っています。学ぶことは、世界の見え方を変える営みです。一歩ずつ積み上げた知識は、やがてあなたの身の回りの現象と結びついていきます。その発見の喜びを、ぜひ大学で味わってください。

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弘前大学は、人文社会科学部、教育学部、医学部、理工学部および農学生命科学部の5学部からなる総合大学で、すべての学問の基礎的領域をカバーしています。
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