講義No.15864 児童学 教育

子どもの「楽しい!」を引き出す「黒子」

子どもの「楽しい!」を引き出す「黒子」

子どもの遊びを支える「黒子」

保育士は「子どもと一緒に遊ぶ人」というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。保育士が得意とするのは、子どもが主体的に遊ぶための「仕掛け」を作ることです。いわば、子どもが主役の舞台を整える、黒子のような存在です。例えば、狭い保育室で子どもたちが電車ごっこを始めたとき、保育士は「危ないからやめなさい」と頭ごなしに制止しません。代わりに、遊びの動線にある椅子を、子どもに気づかれないようそっと端に寄せます。時には、その椅子を並べて道を作ることもあります。こうしたさりげない動作一つ一つに、子どもの「もっと遊びたい!」という意欲を妨げないまま、安全に遊びを広げるための工夫が詰まっているのです。

引き算の関わり方

子どもの思考力を育むには、「教えすぎない」という引き算の関わり方も大切です。砂場で泥だんごを作っている子どもたちが、「うまく固まらない」と試行錯誤しているようなとき、保育士は「水を使えばいいよ」と答えを教えるのではなく、砂場の端にそっとバケツを置きます。バケツを見つけた子どもが「お水を使えばいいんだ!」と自ら気づくことで、遊びは一気に加速します。そこから保育士の意図を超えた、「おだんご屋さんごっこ」へと発展することもあります。自分たちで発見した解決策だからこそ、豊かな発想につながっていくのです。

未来の社会をより良く変える

現在の保育の現場では、個々の事例を写真と文章で記録に残す「ドキュメンテーション」という手法が注目されています。これは単なる記録ではなく、「なぜこの遊びが成長につながったのか」を可視化し、共有する試みです。
子どもたちが「楽しい!」と目を輝かせる瞬間を分析することは、大人の幸せを考えることにもつながります。なぜなら、子どもにとって良い環境は、誰にとっても優しい社会の土台となるからです。保育の研究は、未来の社会をより良く変えていく可能性も秘めているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

愛知東邦大学 教育学部 子ども発達学科 講師 松本 亜香里 先生

愛知東邦大学 教育学部 子ども発達学科 講師 松本 亜香里 先生

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保育学、幼児教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は子どもが大好きで、「子どもの目線では世界がどう見えているんだろう」と考えながら遊びを眺めているだけでも、心が弾みます。もし子どもに興味があるなら、まずは気軽に教育学や保育学をのぞいてみてください。私自身、教育学に携わる中で、子どもの未来を真剣に考える仲間に出会い、共に切磋琢磨(せっさたくま)することで、大きく成長できたと感じています。子どもが好きで、人と関わるのが好きなら、ぜひお勧めしたい分野です。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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オンリーワンを、一人に、ひとつ

愛知東邦大学は、経営学部ビジネス学科、コミュニケーション・デザイン学科、人間健康学部人間健康学科、教育学部子ども発達学科の3学部4学科の大学です。学生が社会にでて生きていく礎を作る4年間を願い、小規模大学としての強みを活かしながら、学生一人ひとりの可能性の芽を大切に育てる大学をめざします。
大きく変化する時代を、学生がたくましく生き抜くには、教職員は学生と真摯に向き合い、個々に眠っている才能や能力を引き出すことに全力で取り組みます。