保育で大切にしていることは? 保育士の実践観を探る

保育士や教師が抱く実践観
保育者や教師は「保育や教育はこうあるべき」といった、それぞれの価値観を抱いて働いています。保育や教育の実際の実践にも影響を与えるこうした価値観は、「実践観」とも呼ばれています。この実践観の内実に迫るために、実践者の「ナラティヴ(語り)」を聞き取るインタビュー調査が行われています。語り手の話にじっくりと耳を傾けることを通して、語り手の経験や思い、考えていることの理解に臨みます。
日本と中国との違い
現役の保育者を対象として行われた調査から、実践観は国によって違いが出ることがわかってきています。例えば日本の保育者に「保育で大切にしていること」について語ってもらうと、「子どもと同じ目線に立って関わる」「子どもを見守る」といった回答が多くなります。子どもの自主性を尊重し、保育者は距離をおいて見守ることが価値づけられます。一方中国では、「保育者が教え、導き、子どもの力をしっかりと伸ばすべき」といった実践観が浮かび上がってきます。文化的な背景の違いが実践観にも反映されているとみることができます。
絵に表れる実践観
言葉だけでなく、描画などの視覚的なイメージを使ってナラティヴを引きだす試みも始まっています。言葉の有効性は明らかですが、ときには視覚的な表現の方が思いやニュアンスをうまく伝えられることがあります。例えば保育についてのイメージを日本の保育者に絵で描いてもらうと、太陽と植物を描く人が多く見られました。太陽は保育者を、植物は子どもを表しています。しかし細かく見てみると、太陽に顔が描かれ、笑顔で植物を見守っている絵、太陽に手が描かれ、植物に手を差し伸べようとしている絵などがあり、距離感が異なります。いずれも言葉の上では「子どもを見守る」という一様の表現になってしまうため、実践観の質的なニュアンスを掴むために視覚的な表現を用いることが有効であることがわかります。
実践者のナラティヴから実践観に迫る研究を通して、よりより保育や教育のあり方を模索する試みが続いています。
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