運動は「クスリ」か「リスク」か? 健康を科学する運動生理学

体力を科学的に考える
スポーツ科学や運動生理学は、運動したときに体の中で何が起きているのかを科学的に調べる学問です。アスリートのパフォーマンス向上だけではなく、一般の人の健康づくりにも深く関わっています。
近年の研究では、体力のピークが従来の説より早くなっている可能性が指摘されています。文部科学省(スポーツ庁)の体力テストの結果を見ると、男子は高校生、女子は中学生の頃に体力のピークを迎えている傾向があるという報告があります。これまで20歳前後が体力のピークと考えられてきましたが、生活環境の変化によって体力の発達のあり方が変わりつつあるのです。
身体活動の低下と健康リスク
こうした背景の一つとして考えられているのが、日常生活で体を動かす機会の減少です。スマートフォンや便利な移動手段の普及により、身体活動量が低下しているのです。世界的な研究でも、身体活動の不足は喫煙や高血圧ととともに死亡の3大リスクファクターとされています。
適切な運動は健康を保つために重要です。アメリカスポーツ医学会では「Exercise is Medicine(運動は薬)」という考え方が提唱され、運動が血圧の改善や生活習慣病の予防につながる可能性があるとされています。しかし、やり方を誤るとけがや体調不良の原因になることもあり、使い方によって「クスリ」にも「リスク」にもなり得る存在です。
楽しく続けられる運動を探る
そのため、どの程度の強度の運動をどのくらいの頻度でするのが最も効果的なのか、を科学的に明らかにする研究も進められています。近年はウェアラブル機器を利用して心拍数や運動量を簡単かつ正確に測定できるようになり、一人一人に合った運動方法を考えることも可能になってきました。
さらに近年では、自分から進んで行う運動は脳の働きにも良い影響を与えることがわかってきています。運動を「きついもの」として捉えるのではなく、「楽しく続けられるもの」として最適化していくことが、これからのスポーツ科学の重要なテーマとなっています。
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