あなたの「大切な音楽」が、人生を語り直す力になる

音楽が引き出す「語り」の力
音楽を聴いて、思い出や感情がふと湧いてくることはありませんか。音楽には、言葉では表せない感情や記憶を引き出す力があります。 この性質を生かしたものが、刑務所や少年院の中で受刑者や非行少年を対象に行われる音楽療法です。
「あなたにとって"大切な音楽"は何ですか」という問いに、ポップス、ヒップホップ、 ゲーム音楽やフォークソングなどさまざまな曲が挙がります。それらの曲について話すうちに、一緒に聴いた家族や友人のことが自然と思い浮かびます。つまり、大切な音楽を語ることは、大切な人や出来事を語ることでもあるのです。
人とのつながりから生きることの意味を発見する
非行や犯罪に至る背景には、人とうまく関われず、孤立したままつらい思いを抱えてきた経験が影響している場合があります。そうした、心の奥にたまり続けた言葉にならない思いが、音楽によって自然と引き出されることがあります。そして、抱えきれなかった過去の感情に気づき、言葉にする、つまり語るという行為を重ねます。この体験により、自分の感情の変化に気づきやすくなり、さまざまな角度から自分を見つめ直すことにもつながります。気持ちをため込んで爆発する前に、誰かに伝えられるようになれば、周りに助けを求められるようにもなります。そして、傷ついた自分や他者との関係からの回復に少しずつつながっていきます。
社会に戻り、人生をよりよく生きる力を育くむ
音楽療法は、人生を劇的に変える魔法ではありません。しかし、自分の感情に気づき、自分の言葉で表せるようになれば、社会に戻るために必要な心の基礎体力が培われます。時空を超えて人や出来事の記憶とつながる音楽の力は、どのように生きるかを主体的に考えるための大きな手がかりになります。音楽による「語り」が、どのように人の行動を変化させ、更生につながるかを明らかにすることは、音楽だけでなく心理学や社会学、言語学から民族学などの多岐にわたる分野を横断する、重要な研究課題となるでしょう。
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武庫川大学 ※2027年4月、共学化。名称変更。 音楽学部 応用音楽学科 教授 松本 佳久子 先生
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