文系と理系がチームを組み、現代の社会課題に挑む

研究現場の「文系・理系」事情
高校生にとって、「文理選択」は進路を大きく左右する重大な決断に思えるでしょう。しかし社会課題を解決する実際の現場では、文理の境界はそうした思いよりずっと曖昧です。将来の予測が困難な「VUCA時代」と呼ばれる現代において、注目されているのが「学際研究」です。学際研究とは、単独の学問分野では解決が困難な研究領域または問題に対し、2つ以上の学問分野の手法を統合して解決するものです。学問分野の壁を取り払い、異なる専門分野が手を取り合うことで、先行きが不透明な現代のさまざまな社会課題を解決しようとしています。
地球温暖化問題に立ち向かうには
地球温暖化問題を例に考えてみましょう。CO₂を削減する新技術を開発するのは理系の仕事ですが、その技術を社会へ普及させるためには、法の整備や国際的な政策合意(法学・政治学)、人々が新技術を受け入れるための環境教育や社会への働きかけ(社会学・教育学)も欠かせません。この例だけでも、理系だけ、文系だけでは解決できないことがわかります。
こうした社会問題を解決するために必要なのが、さまざまな専門分野の研究者が集まったチームです。実際、大学教員約650人を対象に行った調査でも、「文理の壁を越えた共同研究をしたい」というニーズが明らかになっています。
学際研究が切り開く、課題解決の未来
地球温暖化のような長期的な課題への対応は、現在の人の視点だけで考えると目先の利益に引っ張られ、負担を未来に先送りしがちです。このような課題に対し、「未来の人ならどう考えるか」という将来世代の視点を議論に持ち込み、現在と未来の人の双方が折り合える解決策を探る「フューチャー・デザイン」という考え方があります。この考え方は、「長期的課題の解決」について、異なる分野の研究者がチームで議論する中から生まれました。学際研究は分野を越えるだけでなく、時間の壁をも越える、これからの時代に即した研究スタイルなのです。
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