身体の動きを「身体知」に変換 先端技術がもたらす未来とは

身体の動きを「身体知」に変換 先端技術がもたらす未来とは

伝統芸能を伝え継ぐ ープロのわざを解析するー

歌舞伎や日本舞踊、人形浄瑠璃など、日本には多くの伝統芸能が受け継がれています。そのわざや精神は、師匠から弟子へ、稽古(けいこ)を通して伝えられてきました。しかし近年、担い手の減少により、わざをどのように残し、次の世代へつなぐかが課題になっています。
そこで注目されているのが、科学技術を使って「わざ」を見える化する研究です。演者の身体の動きや視線、心拍、呼吸などを計測することで、言葉では説明しにくい身体の使い方や感覚を明らかにしようとしています。実は、漫才などのお笑いも伝統芸能の一つです。漫才師のわざを科学的に解析することで、プロの芸人がどのように笑いを生み出しているのかを調べられます。

シチズンサイエンスで伝統を未来につなぐ

伝統芸能の研究は、機器で計測したデータを分析するだけでは成り立ちません。稽古の現場で何が伝えられ、何がつかみ取られ、何が「わざ」として立ち現れるのかを丁寧に研究し、その価値を伝えることが大切です。
また、伝統芸能を未来につなぐには、それを支えるファンの存在も欠かせません。近年では、一般市民が科学研究のプロセスに自主的に参加し、貢献する「シチズンサイエンス」が注目されています。伝統芸能の分野でも、市民とともに芸能の魅力を発信し、研究を支える取り組みが始まっています。

アバターが拡げる新しい身体の可能性

デジタル技術は、私たちの「身体」のあり方も変えつつあります。その代表例がアバターです。アバターとは、デジタル空間で自分の分身として動くキャラクターのことです。ゲームやSNSで使ったことがある人も多いでしょう。自分が作成したアバターには、本人も気づいていない願望や、「こうありたい」という欲求が反映されることが明らかにされています。つまり、自分で作ったアバターは、自分の潜在的な部分を映し出す鏡のような存在とも言えるのです。
新しい技術と「身体」の融合による実践の可能性は、まだまだ大きく拡がっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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同志社大学 文化情報学部 文化情報学科 教授 阪田 真己子 先生

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認知科学、人文社会情報学

メッセージ

「冷暖自知」という禅の言葉があります。水が冷たいか熱いかは、自ら手を入れてみなければわからない、という意味です。AI時代には、情報だけなら瞬時に入手できます。しかし、冬の水の手が切れそうなほどの冷たさや、思わず手を引っ込めてしまうような熱さは、実際に経験した人にしかわかりません。机上の知識を、見て、動いて、ときに「思っていたのと違う」と感じながら確かめることで、身体知は育ちます。一見役に立たない体験も、いつか理解や発見の土台になります。今しかできない経験を、あなた自身の身体で積み重ねてください。

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同志社大学は14学部34学科16研究科・学生数約29,000人を擁する総合大学です。2025年に創立150周年を迎え、さらなる教育・研究改革を進めています。
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