環境を守るお金の謎 グリーンボンド研究の最前線

環境のためのお金を集める
企業が活動資金を調達する方法には、銀行からの融資のほか、株式や債券の発行があります。債券は、返済額と利率があらかじめ決まっているため、投資家にとって比較的安定した運用手段です。債券には、調達した資金を特定の目的に使うことを宣言して発行されるものがあり、CO₂削減や森林保全、河川浄化など、環境目的に限定する債券が「グリーンボンド」です。ESG(環境・社会・企業統治)やSDGsへの関心が世界的に高まる中、「社会に貢献する投資をする」と宣言する機関投資家が急増しています。グリーンボンドはそうした投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
言ったもの勝ち?
日本では、グリーンボンドの発行を規制する法律がありません。自主的なルールで運用されているため、「環境のために使う」と宣言しながら実際には十分に実行しない「グリーンウォッシュ」が起こり得ます。それでも、グリーンボンドは通常の債券より高く売れる「グリーンプレミアム(グリーニアム)」という現象が確認されています。なぜ高く売れるのか、どんな条件で発生するのかは、まだ十分に解明されていません。つまり、本当に環境に貢献しているか、誰も検証できないまま価格が上昇するという現象が起きているのです。
ルールの厳格化
この現象の原因を探るため、グリーンプレミアムの発生要因を統計データで分析する研究が進められています。重要な手がかりとなっているのがEUの事例です。EUは2024年末にグリーンボンドを法制化し、環境改善が本当に行われているかを確認する厳格な審査と監査を義務付けました。EU市場において、従来の自主ルールで発行された債券と、新しい法的規制のもとで発行された債券を比較したところ、後者の方が投資家により高い価格で買われていることがわかってきました。ルールを厳しくすることがグリーンプレミアムを高める可能性が示されており、日本の制度整備を考える上でも重要な知見として、今後の進展が期待されます。
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東海大学 経営学部 経営学科 教授 久田 祥子 先生
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