経済学×社会学でお金だけじゃない農地の貸し借り問題に挑む

細分化した農地の集積問題
農業の生産性を上げるためにはある程度の広さの農地が必要ですが、日本では戦後の農地改革により農地が細かく分けられ、1ヘクタール未満の農地の所有者が多く存在しています。大きな規模の農業経営をしたい農業者は、何十人もの農地所有者から農地を借りなければなりません。
経済学の理論では、農業者と農地所有者の双方に適切な賃借料を設定すれば、農地の貸し借りが進むと考えられてきました。しかし、現実にはお金だけでなく、農村のコミュニティでの人間関係も重要な要素になる場合が少なくありません。そのため農地の貸し借りを円滑に進めて農地を集積し、日本全体の食料供給を守るためには、社会学の視点も必要となります。
信頼関係と公的制度
ソーシャルネットワーク分析は、人と人のつながりを調べるために使われる社会学の手法です。アメリカの社会学者・グラノベッターは、ちょっと顔を知っている程度の「弱いつながり」を持っていることが、就職の「強み」になっている事実を発見しました。これを農地の市場に応用し、実際に農業者と農地所有者の貸し借りにはどのような背景があったのか、1件1件詳細に調査が行われました。すると、金銭面よりも親戚や隣の集落の人などとの信頼関係が理由となっている事例が大半であることがわかりました。
この分析結果から、農地の集積にはコミュニティ内で信頼の連鎖を広げることが大切だと言えます。それに加えて、農村とつながりのない外部の若い人なども農業へ参入できるよう、公的な制度の整備も必要です。日本では農地バンクという公的機関が、農業者と農地所有者のマッチングを支援しています。
問題解決のためにグローバルな議論を
農地集積の問題は日本だけではありません。スペインでも農地が細分化して農地の貸し借りがなかなか進まず、日本と同様に農地バンクがつくられています。こうした同じ問題を抱える海外の地域の研究者と議論を交わし、知識を共有することは、より良い制度づくりにつながり、問題の解決に貢献できると期待されます。
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